研究課題/領域番号 |
23KJ1021
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分48030:薬理学関連
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
松田 康佑 富山大学, 医学薬学教育部, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2025年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2024年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2023年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 痒み / 慢性掻痒 / アトピー性皮膚炎 / in vivo記録 / ニューロン / in vivo パッチクランプ法 / in vivo カルシウムイメージング法 / 不安・うつ様行動 |
研究開始時の研究の概要 |
痒みとは生体防御のうえで不可欠な感覚であるが、皮膚炎などに伴い発症する慢性掻痒は患者の生活の質を著しく低下させる。慢性掻痒時には、脊髄後角における痒み情報を特異的に伝達する痒み関連ニューロンが持続的に活性化することが知られているが、そのメカニズムは不明な点が多く、特に脳から始まる下行性経路の関与については全く不明である。 そこで本研究では、脳と脊髄の多点連携に着目し、in vivoの電気生理学的手法とin vivo多点カルシウムイメージング法を駆使することにより脳と脊髄の一元的な解析系を構築し、新規アトピー性皮膚炎モデルマウスを用いた慢性掻痒のメカニズム解明を目指す。
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研究実績の概要 |
痒みとは生体防御のうえで不可欠な感覚である。しかし、アトピー性皮膚炎などに伴い発症する慢性掻痒は患者の生活の質を著しく低下させる。慢性掻痒時には、脊髄後角における痒み情報を特異的に伝達する痒み関連ニューロンが持続的に活性化することが知られているが、そのメカニズムは不明な点が多く、特に脳から始まる下行性経路の関与については全く不明である。そこで本研究では、脳と脊髄の多点連携に着目し、in vivoの電気生理学的手法とin vivo多点カルシウムイメージング法を駆使することにより脳と脊髄の一元的な解析系を構築すること、新規アトピー性皮膚炎モデルマウス(FADS)を用いて慢性掻痒発症・維持のメカニズムを解明することを目指した。 延髄表層神経細胞からのin vivo記録系を確立することに成功し、FADSマウスにおいて健常マウスでは見られない延髄表層神経細胞の持続的な自発発火があることを見出した。また、FADSマウスの行動解析や組織学的解析、電気生理学的解析を経日的に行うことにより、神経活動の上昇に伴い病態悪化が進行する様子を捉えることに成功した。また行動薬理学的解析により、下行性経路の賦活化による慢性掻痒の抑制が示唆される結果も得られた。現在は詳細な神経活動解析のため、in vivoカルシウムイメージング法の確立を進めているほか、慢性掻痒維持のメカニズムとして痒みが誘発する負の情動に着目し、不安様行動・うつ様行動の解析系を構築している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新規モデルであったFADSマウスの成人期における病態解析は未解明な部分が多かったが、経日的な病態解析により、本モデルにおける慢性掻痒の発症期・維持期を捉えることができた。これは慢性掻痒の発症および維持のメカニズム解析を行うための基礎解析が順調に進んだことを意味する。また、本研究の達成に欠かせないin vivo電気生理学的手法の確立に成功し、in vivoカルシウムイメージング法の確立も既に着手している。さらに、解析する脳領域の探索も進んでおり、そのための新たな試験系の確立にも既に着手している。以上より、概ね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
現在行っているin vivoカルシウムイメージング法の確立を進める。また、慢性掻痒により活性化する脳領域の同定を進め、その領域における神経細胞のin vivo記録を行う予定である。
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