研究課題/領域番号 |
23KJ1025
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
小間 陸嗣 金沢大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
中途終了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2024年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2023年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
|
キーワード | ミトコンドリア / 温熱刺激 / 骨格筋 |
研究開始時の研究の概要 |
2型糖尿病の発症要因の一つとして骨格筋のミトコンドリア(Mito)機能低下が挙げられる。近年、糖尿病の予防・改善に対する温熱刺激の有効性が報告されているが、温熱刺激が骨格筋のMito機能に及ぼす影響とその分子機序は不明である。我々はこれまでに、筋細胞に多く発現するタンパク質:ミオグロビン(Mb)がMitoにも内在し、Mito機能を高めている可能性を発見した。そこで本研究では、温熱刺激が骨格筋のMito機能を高めるか否かをMito内在型Mbに着目しながら検証し、温熱刺激の抗糖尿病効果を明らかにすることを目的とする。
|
研究実績の概要 |
第三次健康日本21において2型糖尿病の予防・改善による健康寿命の延伸が求められている。2型糖尿病は生体内で最大の血糖処理器官である骨格筋のインスリン効果の悪化(インスリン抵抗性)が主な発症原因である。このインスリン抵抗性を引き起こす一因として、骨格筋におけるミトコンドリア(Mito)呼吸機能の低下が挙げられる。近年、2型糖尿病の予防・改善に対する温熱刺激の有効性が報告されているものの、温熱刺激が骨格筋のMito呼吸機能に及ぼす影響とその分子機序は不明である。我々はこれまでに、筋細胞に多く発現するタンパク質:ミオグロビン(Mb)がMitoにも内在し、Mito呼吸機能を高めている可能性を発見した。そこで本年度は、まず、温熱刺激が骨格筋のMito呼吸機能を高めるか、その分子機序にMito内在型Mbの増加が関与しているかを検証した。C57BL6/JJ雄性マウスに対して3週間の暑熱環境曝露(39±1℃, 30分/日, 週5日)を課した後、下腿三頭筋からMitoを単離して、Mito呼吸機能の分析およびMbの検出に用いた。その結果、温熱刺激によって単離Mitoの複合体IIおよび複合体IVを介した酸素消費速度が上昇した。しかしながら、温熱刺激によって骨格筋のMb発現量およびMito内在型Mb量は変化しなかった。以上の結果から、温熱刺激はMb非依存的に骨格筋のMito呼吸機能を高められることが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
温熱刺激モデルの確立に時間を要したが、当初の計画通りに研究を遂行することができた。その結果、温熱刺激は骨格筋のMito呼吸機能を高めることを明らかにした。当初の仮説に反して、温熱刺激によって骨格筋のMb発現量は変化しなかったが、この結果は、温熱刺激による骨格筋のMito呼吸機能の上昇には必ずしもMbを必要としないことを示唆する。このことから、Mb非依存的な温熱刺激のMito活性化機序を解明するという新たな研究課題も生まれた。なお、本研究の成果の一部は国際学術雑誌に掲載された。以上の点を踏まえて、本研究課題の進捗状況はおおむね順調に進展していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は、温熱刺激が骨格筋のMbを介さずにMito呼吸機能を高めた分子機序を追求する。また、骨格筋のMb発現を誘導する栄養素摂取と温熱刺激の併用が、Mito内在型Mbの増加を介してMito呼吸機能をより活性化できるかも検討する予定である。
|