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アコヤガイの感染症に関する研究:病源体・高水温に対する防御機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 23KJ1031
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分基金
応募区分国内
審査区分 小区分40040:水圏生命科学関連
研究機関金沢大学

研究代表者

端野 開都  金沢大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2023-04-25 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2025年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2024年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2023年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
キーワードVibro / ヘモリシン / TLH / アコヤガイ
研究開始時の研究の概要

2019年夏季から続いているアコヤガイ大量死の原因の一つとして、細菌(MA3株)の感染を報告してきた。そこで、MA3株の病原因子の特定を行うとともに、アコヤガイへの毒化機構の解明を目指す。また、アコヤガイの生育段階における免疫系の違いを調べるために、幼生・稚貝・成貝に対してMA3株の感染実験を行う。さらに、夏季の高水温がアコヤガイの免疫系の弱体化を招いている可能性があるため、感染時の温度による影響も解析する。最終的には感染症や熱ストレスに対する防御機構の中心となるような遺伝子の探索を目指す。

研究実績の概要

アコヤガイに感染する細菌Vibrio sp. MA3株の毒性評価のため、Vibrio属細菌の主要な病原因子と考えられるヘモリシンをコードする遺伝子Vhe1の塩基配列の解析を行った。その結果、Vhe1遺伝子は417のアミノ酸から構成される47.2 kDaのタンパク質であり,TLH(thermolabile hemolysins)ファミリーに分類されることが推定された。さらに、ヘモリシンタンパク質の性質を解析するために、Vhe1大量発現系を構築した。得られた精製Vhe1の溶血活性、及びホスホリパーゼ活性について、①至適温度と至適pH、②金属イオンによる活性阻害効果を解析した。また、③異なる長さの脂肪酸(C4、C8、C10、C12、C16、C18)を持つリン脂質を用いて、ホスホリパーゼ活性の基質特異性を調べた。
①溶血活性、及びホスホリパーゼ活性の至適温度と至適pHについて調べた結果、両方について至適温度は50℃であり、至適pHはそれぞれpH8.5およびpH8.0であることが分かった。その一方で、温度とpHが至適条件から離れるにつれ急激に活性が低下することが明らかとなり、Vhe1タンパク質は低温あるいは高温・酸性あるいはアルカリ性の条件で安定性に欠けることが示唆された。
②Vhe1に対する金属イオンの影響を解析したところ、Cu2+、Cd2+、Zn2+、Ni2+が溶血活性、及びホスホリパーゼ活性を有意に阻害することが分かった。
③異なる炭素鎖の脂肪酸をもつリン脂質を基質として、ホスホリパーゼ活性を測定したところ、Vhe1は中鎖脂肪酸(C8、C10、C12)に対して特異的に活性を示すことが示唆された。
これまでに、Vibrio属細菌のヘモリシン(TLH)の研究は殆ど行われていない。従って、Vhe1の特性解析は、Vibrio属細菌の病原性メカニズムを解明する上で重要な成果と考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度でVibrio sp. MA3株の主要な病原因子と考えられるヘモリシンVhe1の大量発現系の確立と、精製したVhe1の特徴解析を完了しているため、おおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

宿主であるアコヤガイの免疫機構に着目して、異なる温度でMA3株に感染した際の遺伝子発現の変化をRNAseqにより網羅的に解析する予定である。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Purification and Characterization of the Lecithin-Dependent Thermolabile Hemolysin Vhe1 from the Vibrio sp. Strain MA3 Associated with Mass Mortality of Pearl Oyster (Pinctada fucata)2023

    • 著者名/発表者名
      Akihiro Sakatoku, Kaito Hatano, Kosei Takada, Ryota Shimizu, Takaya Suzuki, Makoto Seki, Nobuo Suzuki, Daisuke Tanaka, Shogo Nakamura & Tadashi Isshiki
    • 雑誌名

      Current Microbiology

      巻: 80 号: 9 ページ: 288-288

    • DOI

      10.1007/s00284-023-03409-7

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] アコヤガイ殻黒変病を引き起こす細菌Tenacibaculum sp. Pbs-1株のゲノム解析2024

    • 著者名/発表者名
      鈴木貴也, 端野開都, 田中大祐, 鈴木信雄, 一色 正, 酒徳昭宏
    • 学会等名
      日本水産学会 本大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-26   更新日: 2024-12-25  

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