研究課題/領域番号 |
23KJ1067
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分20020:ロボティクスおよび知能機械システム関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
本田 康平 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2024年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2023年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 自動運転 / 自律移動ロボット / 運動計画 / 行動計画 / 車両制御 / モデル予測制御 / 最適制御 / Control as Inference |
研究開始時の研究の概要 |
自動運転の実現のためには,多様な交通環境や周囲の交通参加者等の状況に応じて連続・並列的に膨大な運転行動を実行可能である必要がある.本研究では,多くの運転行動がモデル予測制御と呼ばれる制御の枠組みの中で最適化問題として数学的に表現可能であることに着目し,状況に応じて適切な最適化問題を実時間で生成・求解することによって多様で柔軟な行動を可能とする自律移動制御フレームワークを創出する.
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研究実績の概要 |
本研究は自動運転における多様な運転タスクを達成するために,モデル予測制御 (MPC)の最適制御問題を状況に応じて生成・求解するフレームワークの創出を目指している.本年度は主に (1) 最適制御問題の実時間合成と滑らかな切り替え技術の開発,及び,(2) 多峰性最適分布に対するサンプルベースMPCソルバーの改良,の2つの内容に取り組んだ. (1) 最適制御問題を要素分解し,状況に応じて適切な要素を選択・合成することによって,多様な最適制御問題を半自動的に生成し,滑らかに切り替えながら行動するフレームワークを開発した.提案したフレームワークはいくつかの典型的な運転シナリオでシミュレーションによって検証され,従来法よりも少ない設計要素で多様な運転行動を実行可能であることが示された. (2) 上述のフレームワークによって多様な最適制御問題を実時間生成可能となったが,同時に一つの課題が露見した.生成される最適制御問題はしばしば非線形かつ多目的な最適制御問題となり,勾配情報を用いた数理最適化手法では局所最適解や数値不安定性に悩まされる.この課題に対処するために,モデル予測経路積分制御というサンプルベース最適化手法を改良し,多峰性な最適行動分布の単一モードを効率的に近似可能な最適化ソルバーを提案した.提案手法は2023年のIEEE ICRAで開かれたF1TENTHと呼ばれる小型自律移動車両レース世界大会において実機実装され,23チーム中4位の成績を収めた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は自動運転における複雑かつ多様な運転タスクをいかに少ない設計要素で効率的に達成するか,という課題に焦点を当てている.申請当初は,最適制御問題を状況に応じて半自動的に生成し,それらを滑らかに切り替えながら走行する,というフレームワークを目指していた.当初のスキーム通り,上記のフレームワークは概ね完成された.しかしながら,提案したフレームワークは予め最適制御問題の要素を手動で設計する必要性や,状況に応じてどの要素を合成すべきかを計画すべき,という課題が残されている.これらの課題は,近年発展が顕著な自然言語モデルや強化学習などの技術を用いてアプローチする必要があると考えている
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今後の研究の推進方策 |
現在大きく分けて2つの課題がある.1つ目は最適制御問題の生成の完全な自動化である.これには,大規模言語モデルによるアプローチが有効であると考えている.つまり,最適制御問題はある種の形式的な自然言語であり,状況やユーザーの目的に応じて,言語モデルから生成可能であることが期待される.2つ目の課題は,生成された複雑な最適制御問題を安定かつ効率的に解くことである.これに対しては,従来の数理最適化手法では扱うことが可能な問題のクラスが制限されてしまう.そこで,最適制御問題を軌道生成問題へと変換し,確率的推論によって解を算出する方策を検討している.
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