研究課題/領域番号 |
23KJ1082
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分18040:機械要素およびトライボロジー関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
SONG YUXI 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2024年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2023年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | トライボロジー / 潤滑油添加剤 / 高分子吸着膜 |
研究開始時の研究の概要 |
環境と調和した持続可能な社会の実現や、自動車などの機械システムのエネルギー効率向上のため、潤滑油の低粘度化が求められている。しかし、低粘度油を使用すると、摺動面が直接接触するため、摩擦が大きくなる。潤滑油に含まれる高分子添加剤は、摺動面に吸着することで、摺動面の直接接触による摩擦を低減することができる。本研究では、添加剤、潤滑剤、摺動面間の分子間相互作用を定量化し、分子間相互作用から分子状態を推定することができる。これにより、分子構造から潤滑性能の予測が可能となり、ボトムアップ型の添加剤分子設計理論の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
環境と調和した持続可能な社会のため自動車など機械システムのエネルギーの利用効率向上が求められている。高分子添加剤は、自動車の潤滑用添加剤として注目されている。高分子添加剤は溶解した潤滑油から摺動面に吸着し、摺動面を分離する。このように、吸着した添加剤分子膜は摺動面の接触を防ぎ、摩擦や摩耗を低減できる。現在、添加剤分子の設計は、実測することで試行錯誤的に行われている。本研究では、潤滑油中の添加剤の分子状態から、吸着特性および摩擦特性を予測可能な分子設計論の確立を試みる。 本年度は、複数の高分子添加剤の潤滑油への溶解度を測定した。高分子添加剤の極性を高分子の溶解度測定により定量化した。まだ、中性子反射率法および独自に開発した垂直型エリプソメトリー顕微鏡を用いた吸着膜厚の測定により、高分子添加剤の表面への吸着特性を定量化した。その結果、高分子添加剤の極性と吸着膜厚には強い相関があることがわかった。高分子添加剤の極性が高いほど、吸着膜は厚くなり、吸着膜中のゆるく吸着したも鎖多くなることがわかった。さらに、高分子吸着膜厚の違いによる摩擦特性と潤滑膜形成についても検討した。吸着膜中にゆるく吸着した鎖が多いほど、摺動時の潤滑膜が厚く生成された。その結果、摺動面同士の直接接触は起こりにくくなり、摩耗を低減することができる。これらの結果から、高分子添加剤の極性から潤滑特性を予測することが可能であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、中性子反射率測定法により、圧力をかけずに鉄表面に吸着した高分子膜の厚さと密度を測定することに成功した。この結果を、圧力下で垂直型エリプソメトリー顕微鏡により測定した吸着膜厚と比較し、極性の異なる高分子添加剤の吸着状態を明らかにした。さらに、高分子添加剤の極性を溶解性測定により定量化することに成功した。これらの結果から、高分子添加剤の極性と潤滑油中高分子添加剤吸着状態との相関を発見・確認した。
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今後の研究の推進方策 |
摺動中の摩擦力を測定するためのセットアップを構築する。 前年度でできなかった摺動中の摩擦力と潤滑膜厚を同時測定を行い、高分子添加剤の吸着膜が摺動中の摩擦特性の影響を解明する。これにより、吸着膜の構造(吸着状態)と摺動中の摩擦特性の関係を明らかにする。これまで確認してきた高分子の極性と吸着膜の吸着状態との相関の結果から、高分子添加剤の極性と摺動時の摩擦特性との関係が明らかになる。これにより、本研究は高分子構造から摩擦特性を予測することを目指す。
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