研究課題/領域番号 |
23KJ1089
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分16010:天文学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
大森 清顕クリストファ 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
700千円 (直接経費: 700千円)
2024年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
2023年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
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キーワード | Galaxy Evolution / Galaxy Interactions / Machine Learning |
研究開始時の研究の概要 |
In this research, we plan to investigate galaxy interactions and mergers, to help improve our understanding of this fundamental process in galaxy evolution. Our methods will include machine learning and the use of large scale data.
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研究実績の概要 |
研究目的の「銀河進化を議論する上で重要な物理過程である「銀河の相互作用」について大規模データを用いて解明する」に向け、本年度はHSC-SSPの大規模サーベイに用いて研究を進めた。 本年度の計画に1.共同研究として行っているHSC-SSPの相互作用銀河の研究について結果をまとめ、現在執筆中の「機械学習を用いたHSC-SSP相互作用銀河の分類・相互作用銀河と密度環境の関係」についての論文、及び「HSC-SSP内のAGNと相互作用銀河の関係」についての論文の最低2本以上の論文を執筆する計画、2.HSC-SSPデータの全銀河に与えたmerger probabilityをカタログデータとして公表、及び3.博士論文の執筆の3つの主目的があった。 1.については"Galaxy mergers in Subaru HSC-SSP: A deep representation learning approach for identification, and the role of environment on merger incidence"がAstronomy & Astrophysics誌に受理され、2023年11月に掲載された。本論文は相互作用銀河と周辺密度環境についての相関及び機械学習を用いた銀河分類についてまとめてあり、2024年5月現在で引用数6と一定のインパクトを残している。2本目の投稿予定論文についてはデータ解析が長引き、結果と考察部分をまだ議論中である。 2.についてはHSC-SSPデータの一部の銀河のmerger probabilityの公表に留まっている。大規模データの画像処理に目処が立ち次第残りの公表を行う予定。 3.は"衝突銀河の分類方法と銀河進化における銀河衝突の役割の研究"として博士論文が受理され、名古屋大学理学研究科よりSpringer Thesesに推薦された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究計画に記載した3つの目的に対し、少し予定より遅れているものの概ね順調に研究は進んでいる。 1.に対しては1本の論文の投稿に留まっているが、これは1本目の論文査読と改訂過程が想定より長引いたからである。まず雑誌が査読者を見つけるのに想定より時間(約1ヶ月)がかかった。査読者に丁寧なコメントを多くいただき、対応と改訂に想定より長い時間がかかった。2本目以降の論文に関しては、AGN銀河の分類と解析に想定より長い時間がかかり、博士論文やポスドク書類執筆と並行して行った為まだ結果を纏められていない。また、本論文は当初の1本の論文の予定から、「相互作用銀河とAGNの関係」及び「相互作用・AGN・銀河周辺環境の相関」の2本の論文に分ける予定に変更した。これは、最初の「相互作用銀河とAGNの関係」について予想より多くの議論や考察が必要になる見通しが研究を通して明らかになった為である。 2.に対しては全銀河データを公表するつもりだったが、上記のように一部データの公表に留まっている。これは、現在使っている一連のコードでは数百万枚と存在するHSC-SSP画像データに上手に対応出来ていない為である。上記研究が纏まり次第コードを修正し、全データを公表する予定。 3.に対しては博士論文が受理され、無事博士号を得る事が出来た。 研究活動を行う中で、国内外(国内は北海道・愛媛等、国外はカナダ・オーストラリア・韓国)多くの研究機関や研究会に出張し、議論を行い他機関の研究者と交流を深める事が出来、今後の研究に向けての人脈を築いた。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度の研究方策としては、第一として、2023年度の計画にあった「相互作用銀河とAGNの関係」の2本の論文執筆を2024年度中に終える事。銀河相互作用とAGNの関係性は長く議論されており、完全な結論はまだ出ていない。本研究ではHSC-SSPの観測領域内においての両者の関係性を明らかにする見通しである。また、2本目の論文は「銀河相互作用とAGNの関係性は環境によって変化するのか」と、違う観点から両者の関係性を探る目的から執筆する。 これらの論文を執筆が終わってからは、多波長データを用いて相互作用銀河の研究を続ける予定である。銀河相互作用の影響はHSC-SSPの可視光観測では見えないところでもあるとされる。特に、相互作用と密接な関係があるとされるAGNの解析には、Euclid等の赤外線観測データやVLA/SKA等の電波観測データが重要だと思われる。その為、これらのサーベイを用いて研究を行っているグループ等と積極的に議論交流を行う予定もある。 研究計画の大きな変更としては、課題に「Springer Theses掲載に向け博士論文の改訂」が増えた。博士論文の研究内容はSpringer社に受理されたが、現時点では投稿論文と類似性が高い為大幅な書き換え改定に加え、Springer Thesesの体裁への変更が必要と判断された。これらの書き換えは2024年秋頃までに終わらせる予定ではあるが、その間上記AGN関連研究のペースが落ちる事が想定される。
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