研究課題/領域番号 |
23KJ1095
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分37010:生体関連化学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
三浦 裕太 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2024年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2023年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 血液脳関門 / blood-brain barrier / ケモジェネティクス / 化学遺伝学 / トランスサイトーシス / トランスフェリン受容体 |
研究開始時の研究の概要 |
血液から中枢神経系への物質輸送は、血液脳関門(BBB)により制御される。BBBはそのバリア機能の高さから、高分子薬の約100%、低分子薬の98%以上を排除している。BBB輸送法に関しては多くの研究が報告されているが、従来法では標的が全身に遍在していたため、選択的輸送が困難だった。 本研究では、ケモジェネティクスを用いて様々な薬剤の高効率・高選択的なBBB輸送を可能とするプラットフォームを構築する。遺伝子工学により脳毛細血管内皮細胞選択的にゲートタンパク質を発現させる。ゲートタンパク質選択的に結合できるリガンド-薬剤複合体を合成して投与する事で、任意の化合物を中枢神経系選択的に送達する事を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、ケモジェネティクスを用いて様々な薬剤の高効率・高選択的なBBB輸送を可能とするプラットフォームを構築する。 初年度は、脳毛細血管内皮細胞選択的に発現させる予定の標的分子(ゲートタンパク質)の作製及び、ゲートタンパク質選択的に結合できるリガンド-薬剤複合体(パス化合物)の合成を行った。ゲートタンパク質として血液脳関門(BBB)透過のターゲットとされるタンパク質(TfR)と真核細胞直行的なリガンド-タンパク質ペア(eDHFR)の融合たんぱく質をいくつか作製した。当初はTfRのエクトドメインを削ってeDHFRに挿げ替える戦略を取っていた。TfRのエクトドメインが存在しないタンパク質を発現させるとドミナントネガティブになり細胞毒性が引き起こることが明らかになり、エクトドメインを残したタンパク質が細胞内で上手く機能することが分かった。eDHFR選択的に結合する化合物であるトリメトプリムと蛍光色素を繋いだパス化合物の合成も行った。HEK293T細胞において、ゲートタンパク質を発現させてパス化合物を処置することで、ゲートタンパク質依存的なパス化合物の取り込みを確認できた。また数分というごく短い時間で効率よく取り込まれることが分かった。これは、標的細胞選択的な化合物の取り込みに成功したと言え、BBB輸送系以外にも広く応用できる技術になり得ると考えている。 ゲートタンパク質がリサイクリング経路に乗っていることも確認しているため、パス化合物もリサイクリング経路に乗ることが予想され、トランスサイトーシスによる輸送も起こり得ると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、研究開始ながら研究の根幹となるタンパク質-化合物のシステムの開発が出来た。またこの結果は、BBB輸送に留まらず標的細胞への輸送法として広く使える可能性を秘めている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究成果に基づき、今後も上記の研究計画内容を展開させる。具体的には、マウス個体を用いてBBB透過性のない有用な化合物をBBB透過させることで、治療に向けた実験を行い、新たなBBBプラットフォームを構築する。
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