研究課題/領域番号 |
23KJ1128
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分24010:航空宇宙工学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
中田 耕太郎 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2025年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2024年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2023年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 複合閉塞 / デトネーション / ラジカル発光可視化 / 流路形状 |
研究開始時の研究の概要 |
超音速で伝播する燃焼波により短い燃焼完結距離を有するデトネーションは、既存の定圧燃焼エンジンにおいて「燃焼室における高圧ガスの生成」と「ノズル縮流部による流体加速」の2つに分かれていたプロセスをデトネーション燃焼領域で完結させることができる。これにより、拡大流路内であっても加熱により流体を音速まで加速(複合閉塞)させ、拡大流路のみで超音速流の生成が可能だが、その加速過程には未解明な点が多い。本研究では、圧力・温度・光学計測を含む燃焼試験、および燃焼反応による組成の変化を考慮した準一次元非定常流れの計算を利用し、複合閉塞による流体加速機構の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
2023年度は、拡大流路RDE(Rotating Detonation Engine)を用いたガス水素―ガス酸素燃焼試験において、エンジン内部の時間平均静圧の測定、高速度カメラを用いた自発光可視化、およびイメージインテンシファイアを併用したOH*ラジカル発光可視化を実施し、反応性の異なる推進剤を用いた場合に生じる燃焼反応プロファイルの差異を調査した。水素―酸素燃焼とエチレン―酸素燃焼の比較では、アクリル製側壁を用いてエンジンの側面方向から撮影したラジカル発光の軸方向輝度値分布に明確な差異が見られなかった。これにより、拡大流路内の複合閉塞において流体の加速機構を担う燃焼反応プロファイルの違いを可視化実験を通じて同定するには、酸化剤として空気を用いるなど、上述の混合気よりも反応性が低く、燃焼領域がエンジンのより下流まで分布すると推測される混合気での実験が必要であることが示唆された。 また、本年度は拡大流路を用いた試験に加えて収縮流路による燃焼試験を実施し、流路の拡大率と実際の燃焼場における流体への加熱率の関係を同定するための基礎となるデータを取得した。拡大流路においては、流路の面積拡大によって生じる流れの減速と燃焼による加熱で生じる流れの加速のバランスで音速点の位置が決定される。その一方で、収縮流路においては流路面積の減少と燃焼による加熱がどちらも流れの加速に寄与し、エンジン内で十分に高い燃焼圧が維持されている場合には常に音速点が出口付近に位置する。このような、異なる加速機構を有する流れ場の圧力分布および輝度値分布の取得により、拡大角をパラメータとした発熱率の検討が可能になり、複合閉塞による加速機構の解明に向けた準一次元非定常流れ場モデルの構築において不可欠な情報が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では、準一次元非定常流れ場モデルの構築を初年度に実施する予定であったが、高速度カメラとイメージインテンシファイアを使用する機会を得たため、2024年度に予定していた可視化を含む燃焼試験を本年度中に実施した。可視化実験ではアクリル製の側壁を用いて、エンジン側面方向からガス水素―ガス酸素燃焼における自発光およびOH*ラジカル発光を撮影し、燃焼反応プロファイルの推定に必要な化学発光の軸方向分布を取得した。この可視化実験の結果とこれまで実施してきたガスエチレン―ガス酸素燃焼の結果を用いることで、反応性の異なる推進剤における燃焼プロファイルの比較が可能となった。また、拡大形状のみならず、複合閉塞による亜音速流体の加速機構の理解に重要な収縮形状の流路についても時間平均圧力分布・輝度値分布を取得した。上述した結果の一部は国際会議で発表済みであり、研究目的に照らして十分な進展があったと考える。 一方で技術的な課題としては、デトネーション燃焼に伴う熱衝撃により石英製の側壁が破損する問題を解決できておらず、アクリル製側壁特有の燃焼による溶損の影響の除去や、レーザ等を用いたより詳細な内部流れ場画像の取得には至らなかった点が挙げられる。また、準一次元非定常流れ場モデルによる検討結果を反映した測定物理量の選定が未実施だったことで、燃焼反応プロファイルの差異を実験的に抽出するために効果的な実験条件を決定できなかったことも課題である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、当初の計画で2023年度に実施予定であった準一次元非定常流れ場モデルの構築を推進し、複合閉塞に至る流体への加熱率と流路の拡大率の関係の同定を目指す。モデル化においては、周方向に回転する燃焼波と軸方向に加速される主流により強い三次元性を有する拡大流路RDEの内部流れ場において、燃焼反応プロファイルをどのように準一次元計算に落とし込むかが大きな課題となると考えている。この課題に取り組むうえで、先行して実施した燃焼試験で取得した時間平均軸方向圧力分布・輝度値分布を活用した計算結果の妥当性検証が重要な意味を持つ。特に、エンジン内部全域が亜音速流れとなる収縮流路の実験結果を参照すれば、定常流れの式を用いても比較的容易に流れ場の計算が可能であるため、今後新規に構築する非定常計算モデルの妥当性検証に非常に有用であると考えられる。 また、アクリル製の側壁と比較して溶損の影響が小さく、表面粗さも小さいことからより詳細な内部流れ場構造の撮影を可能にする石英製側壁についても、実験に耐え得るものを製作する予定である。具体的には、金属製のエンジン部品との接触を最小限にするシール材・保持方法の採用や、石英側壁内部の温度勾配を小さくするための薄い石英側壁の設計・製作を実施予定である。
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