研究課題/領域番号 |
23KJ1150
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分06010:政治学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
寺下 和宏 京都大学, 公共政策教育部, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 政治的代表 / 市民社会 / フェミニズム / 女性団体 / 移民 / 計量テキスト分析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、韓国を事例に、外国籍女性の利益がどの程度代表されているのか(政治的代表)を明らかにした上で、外国籍女性の利益を反映した政策がいかにして成立するのかを解明する。韓国では、外国出身の政治家がほとんどいないにも関わらず、外国籍女性への支援政策が成立している自治体とそうでない自治体が混在する。この違いに注目し、第1に、韓国では、政治家はもちろん、市民社会が代表する利益にも偏りがあり、自治体によって異なることを新聞記事・団体資料の計量テキスト分析によって明らかにする。第2に、幅広い対象を支援する政策が成立するメカニズムを、計量分析と、インタビュー・資料調査に基づく事例研究によって明らかにする。
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研究実績の概要 |
2023年度は韓国の地方議会においてどんな「女性」の利益が代表されているのかを計量テキスト分析で明らかにした。この際、韓国の広域自治体の議会議事録をすべて収集して分析を行った。 また市民社会側の代表を捉えるために、新聞記事を用いた抗議イベント分析を行った。具体的には韓国における一般紙、地方紙の「社会運動」関連記事を網羅的に収集し、機械学習で分類することで新聞記事のうち抗議イベントを報じているものか、そうでないかを判断した。この際、ネイティブスピーカーにあらかじめ手作業での分類を依頼し、この分類データに基づき学習を行うことで高い精度で韓国の市民社会の活動を把握した。 以上によって特定した抗議イベントの主張を捉えるために、準教師つき学習モデルを用いて記事の内容を分類した。これにより、どのような抗議行動が「移民」や「女性」を代表しているのかを判断した。以上は現在も分析中であり、2024年7月に開催される国際会議で発表予定である。 また議会、政策、市民社会に関する資料収集および関係団体へのインタビューの打ち合わせを実施するために、韓国への現地調査を行った。現地調査によって移民政策に関する資料および議会のデータを収集しただけでなく、2024年度に実施予定のインタビューのための打ち合わせを終えることができた。 さらに2024年3月からは延世大学政治外交学科に訪問研究員として在籍し、大学図書館やデータベースを利用して効率的に資料・データ収集を進めることができた。2024年度以降も在籍し、現地の研究者との研究課題に関する討論、意見交換を実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、地方自治体の議会議事録および政策資料と市民社会の活動に関するデータを概ね収集できた。収集したデータとその分析結果は随時、国内外の学会にて報告しており、2024年度中にも国内外の学術雑誌に論文を投稿する予定である。 それだけでなく、2024年度に実施予定のインタビューのためのコネクションおよび研究環境の整備も順調に進んでいる。具体的には、女性団体関係者との懇談を実施し、新たなコネクションを開拓しただけでなく、2024年度中の在外研究の滞在先となる延世大学政治外交学科の研究室と交流した。実際に2024年3月から韓国の延世大学政治外交学科に訪問研究員として滞在しており、大学のリソースを活用して研究課題を遂行できている。
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今後の研究の推進方策 |
2024年4月時点で、韓国・延世大学(外国の研究機関等)にて研究課題を遂行している。韓国には引き続き2025年2月まで滞在し、当初予定通り、現地でしか入手できない移民政策に関する資料や女性団体、外国人支援団体に関する資料を収集する。また自治体関係者および団体関係者へのインタビューも実施し、自治体間で政策成立・実施の差異が生じる要因を検討する。 さらに2023年度に入手したデータを整理、分析し、自治体間で移民政策に違いが生じる要因を市民社会の政治的代表の観点から検討する。自治体、市民社会の各データから導き出される知見に関しては、学会報告したことを踏まえ、2024年度中に国内外の学術雑誌に投稿する予定である。
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