研究課題/領域番号 |
23KJ1153
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分16010:天文学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
林 利憲 京都大学, 基礎物理学研究所, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 三体問題 / コンパクト連星 / 天体力学 |
研究開始時の研究の概要 |
ブラックホールなどのコンパクト天体を含む三体系(以下、コンパクト三体系)の形成モデルとして、先行研究で提案されている力学的捕捉モデルと相補的な、恒星三体系の進化による形成モデル(孤立三体系モデル)の構築と検証を目指す理論的研究を行う。研究結果として得られる分布・形成確率を用いて、将来のコンパクト天体三体系の探査可能性の議論もあわせて行う。
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研究実績の概要 |
前年度、位置天文観測衛星Gaiaのデータリリース3及び視線速度フォローアップ観測により、恒星-不可視伴星連星が2つ(Gaia BH1及びGaia BH2)実際に発見された。これにより、本研究の目的である連星ブラックホールなどのコンパクト天体を含む三体系の形成及びその探査可能性のうち、探査可能性の部分について議論を深めることが可能となった。そこで本年度は、候補天体が見つかった場合に実施する予定であった三体系の探査可能性の見積もりとフォローアップ観測提案の部分の研究を主として行なった。 具体的には、Gaia BH1及びGaia BH2を、恒星-連星ブラックホール三体系であると想定し、恒星視線速度に対して生じる短周期及び長周期の変動の推定と軌道パラメータの制限を行なった。その結果、特に高離心率かつ比較的短い公転周期をもつGaia BH1に対しては、近点通過時に集中観測を行うことで効率的かつ現実的な探査を行えることが示唆された。その後、他の研究者による視線速度フォローアップ観測により、Gaia BH1がコンパクト連星を含む可能性は低いことが判明したものの、上記の研究結果自体は将来他の候補天体に対しても広く適用可能である。 加えて、本年度はコンパクト天体を含む三体系として、超大質量ブラックホールと連星ブラックホールからなる三体系の軌道安定性についての研究を継続中である。これは力学的に重要であるだけでなく、形成した三体系が長時間進化した後の最終生産物と、初期軌道条件の関係を調べる上で重要となり得る。また、恒星三体系からのコンパクト天体三体系形成シナリオ構築については、恒星進化・相互作用を入れた永年摂動公開コードTRESのテスト計算を実施している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、コンパクト連星を含む三体系の探査可能性という観点から、実際に発見された恒星-不可視伴星連星であるGaia BH1・Gaia BH2の視線速度変動の推定と探査可能性の検証を主に行った。当初予定していたよりも早く昨年度に候補天体が発見されたため、研究計画の順番は前後したものの、研究の全体としてはおおむね順調に推移していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究推進の方針としては、引き続きコンパクト天体を含む重力三体系の形成・進化と安定性の問題を、数値シミュレーションを用いて行うことを考えている。その際には、一般相対論的補正の効果についても詳細に検証することを予定している。 コンパクト連星を含む三体系の探査については、候補天体が発見される都度、不定期的に行うことを考えている。
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