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ガス交換能を有する肺胞チップの創出

研究課題

研究課題/領域番号 23KJ1155
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分基金
応募区分国内
審査区分 小区分90110:生体医工学関連
研究機関京都大学

研究代表者

渡邉 幸夫  京都大学, iPS細胞研究所, 研究員

研究期間 (年度) 2023-04-25 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
キーワードオルガノイド / マイクロ流体デバイス
研究開始時の研究の概要

間質性肺炎やウイルス性肺炎等の肺疾患病態モデルの作製と応用を目指し、ヒトiPS細胞等から肺胞オルガノイドおよび肺胞チップを作製する。作製した肺胞オルガノイドの細胞構成比率やその局在を、シングルセルRNA-seq解析や免疫染色法により明らかにする。また、肺胞オルガノイドをマイクロ流路デバイスに搭載し、気流や伸縮刺激を付与することで成熟化させ、ガス交換能を有する肺胞チップを開発することを目指す。肺胞チップの有用性を検証するため、ウイルス感染等により低下したガス交換能を改善できる薬物を探索する。

研究実績の概要

間質性肺炎やウイルス性肺炎等の重篤な呼吸器疾患においては、肺胞の著しい機能低下が認められる。しかしながら、これらの呼吸器疾患の発症機序については、未解明の部分が多く残されている。ヒトiPS細胞等から分化誘導した肺胞オルガノイド等のヒト肺胞モデルは、これらの呼吸器疾患研究への応用が期待されているが、従来の分化誘導技術によって作製された肺胞オルガノイドは、機能的に未熟であり、ガス交換能を 評価することは困難であった。本研究では、臓器チップ技術を用いることで肺胞オルガノイドの細胞外環境を操作することによって、ガス交換能を有する肺胞チップを創出することを目指す。また、開発した新規肺胞チップを用いて呼吸器疾患の病態解明と新規治療薬開発にも挑戦する 。
2023年度は間質性肺炎やウイルス性肺炎等の肺疾患病態モデルの作製と応用を目指し、ヒトiPS細胞等から肺胞オルガノイドおよび肺胞チップを作製した 。作製した肺胞オルガノイドの細胞構成比率やその局在を、シングルセルRNA-seq解析や免疫染色法により確認した。また、肺胞オルガノイドをマイクロ流路デバイスに搭載し、気流や伸縮刺激を付与することで成熟化させ、ガス交換能を有する肺胞チップのプロトタイプの開発を行った。さらに、開発した肺胞チップにおいてガス交換能を評価するための酸素センサーなどの周辺機器の整備も行い、呼吸器能評価に関する予備的な検討を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では、間質性肺炎やウイルス性肺炎等の肺疾患病態モデルの作製と応用を目指し、ヒトiPS細胞から肺オルガノイドを作製し、マイクロ流体デバイスへの搭載を行っている。2023年度は、ヒトiPS細胞から肺オルガノイドへの分化誘導法の開発を行った。ヒト肺オルガノイドの細胞構成比を明らかにするため、scRNA-seq解析を行なった。作製したヒト肺オルガノイドに含まれる呼吸器上皮細胞の割合は、ヒト肺組織における呼吸器上皮細胞の割合とほぼ同じであった。ヒト肺オルガノイドに含まれる線維芽細胞および血管内皮細胞をより詳細に調べるため、サブクラスタリング解析も実施した。血管内皮細胞については、免疫反応に関わる血管内皮細胞のマーカーを高発現する亜集団の存在を確認した。線維芽細胞については、筋線維芽細胞マーカーを強く発現している亜集団の存在を確認した。したがって、作製したヒト肺オルガノイドは、呼吸器上皮細胞の割合の観点だけでなく、非上皮細胞の多様性の観点でも生体肺組織を模倣出来ている可能性が示唆された。マイクロ流体デバイスへのヒト肺オルガノイドの搭載に向けた検討にも着手した。マイクロ流体デバイス内においてガス交換能を評価するため、酸素透過性の低い素材を使用したマイクロ流体デバイスの開発を実施した。また、当該デバイスにおいて、酸素濃度計を搭載し、酸素濃度をモニタリングできることを確認した。今後、上述で作製したヒト肺オルガノイドをマイクロ流体デバイスに搭載することにより、ヒト肺チップの開発を試みる。

今後の研究の推進方策

2024年度は、開発した肺胞チップを用いて呼吸器能を評価できるか検証する。ヒトiPS細胞から肺オルガノイドへの分化誘導を行い、マイクロ流体デバイス上で物理学的刺激を負荷することで機能的に成熟した肺胞チップを作製する。肺胞チップの遺伝子発現および蛋白質発現を解析し、ヒト肺組織との比較解析を行う。また、肺胞チップにおける各種肺マーカーの免疫組織学的解析により、個々の構成細胞の局在についても明らかにする。作製した肺胞チップにおいてガス交換能を評価するため、酸素センサーを用いた経時的な酸素濃度の測定を行う。ガス交換能を評価可能であった場合、呼吸器能低下を誘発する化合物等を処理することによって、ガス交換能の変動が見られるか確認する。また、ウイルス感染を原因とするガス交換能の低下も再現できるか検討する。肺胞チップの肺胞上皮細胞側からウイルスを感染させたのち、ガス交換能を経時的に測定するとともに、ウイルス排除後あるいは薬物治療後にガス交換能が回復するかどうか明らかにする。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (7件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Virological characterization of the 2022 outbreak‐causing monkeypox virus using human keratinocytes and colon organoids2023

    • 著者名/発表者名
      Watanabe Yukio、Kimura Izumi、Hashimoto Rina、Sakamoto Ayaka、Yasuhara Naoko、Yamamoto Takuya、The Genotype to Phenotype Japan (G2P‐Japan) Consortium、Sato Kei、Takayama Kazuo
    • 雑誌名

      Journal of Medical Virology

      巻: 95 号: 6

    • DOI

      10.1002/jmv.28827

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Evaluation of Broad Anti-Coronavirus Activity of Autophagy-Related Compounds Using Human Airway Organoids2023

    • 著者名/発表者名
      Hashimoto Rina、Tamura Tomokazu、Watanabe Yukio、Sakamoto Ayaka、Yasuhara Naoko、Ito Hayato、Nakano Masahiro、Fuse Hiromitsu、Ohta Akira、Noda Takeshi、Matsumura Yasufumi、Nagao Miki、Yamamoto Takuya、Fukuhara Takasuke、Takayama Kazuo
    • 雑誌名

      Molecular Pharmaceutics

      巻: 20 号: 4 ページ: 2276-2287

    • DOI

      10.1021/acs.molpharmaceut.3c00114

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] ヒトiPS細胞由来大腸オルガノイドとケラチノサイトを用いたエムポックス病態評価系の構築2024

    • 著者名/発表者名
      渡邉幸夫、木村出海、橋本里菜、山本拓也、G2P-Japan Consortium、佐藤佳、高山和雄
    • 学会等名
      第23回日本再生医療学会総会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] マラリア原虫のスポロゾイト感染に対するヒト肝細胞の応答性2024

    • 著者名/発表者名
      渡邉幸夫、出口清香、岡田玲那、仲田吉孝、馬場みなみ、新澤直明、山本拓也、石野智子、高山和雄
    • 学会等名
      第93回日本寄生虫学会大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ケラチノサイトおよび大腸オルガノイドを用いたエムポックスウイルスクレードI、IIa、IIbの性状解析2023

    • 著者名/発表者名
      渡邉幸夫、木村出海、橋本里菜、山本拓也、G2P-Japan Consortium、佐藤佳、高山和雄
    • 学会等名
      第46回日本分子生物学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ヒト皮膚モデルおよび大腸オルガノイドを用いたエムポックスウイルス(サル痘ウイルス)の特性評価2023

    • 著者名/発表者名
      渡邉幸夫、木村出海、橋本里菜、山本拓也、G2P-Japan Consortium、佐藤佳、高山和雄
    • 学会等名
      第70回日本ウイルス学会学術集会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] AUTOPHAGY-RELATED COMPOUND SCREENING FOR COVID-19 DRUG DEVELOPMENT2023

    • 著者名/発表者名
      Yukio Watanabe, Rina Hashimoto, Hiromitsu Fuse, Akira Ohta, Yasufumi Matsumura, Miki Nagao, Takuya Yamamoto, Kazuo Takayama
    • 学会等名
      ISSCR 2023 ANNUAL MEETING
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会

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公開日: 2023-04-26   更新日: 2024-12-25  

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