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脱ガス活動によるマグマ溜まりの減圧は噴火を誘発するか?

研究課題

研究課題/領域番号 23KJ1160
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分基金
応募区分国内
審査区分 小区分17040:固体地球科学関連
研究機関東京工業大学

研究代表者

成田 翔平  東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教

研究期間 (年度) 2023-04-25 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
キーワード阿蘇火山 / 水蒸気噴火 / 地殻変動 / 放熱率
研究開始時の研究の概要

噴火後の火山では活発な火山ガス放出と同時にマグマ溜まりの収縮が普遍的に観測される。これらは脱ガスによるマグマ溜まりの減圧を反映しており, 火山活動が静穏な状態に戻る過程として認識される。一方, 脱ガスの理論的考察から, 脱ガスによるマグマ溜まりの減圧がより深部からのマグマ上昇を誘発し, 噴火リスクを高めるという概念モデルが提案されている。阿蘇山2021年噴火に前駆する熱活動や地殻変動も同様の機構が働いた可能性を強く想起させる。本研究は熱・地殻変動データ等の統合解析を通じて, 阿蘇山2021年噴火が, 脱ガスに伴うマグマ溜まりの減圧による深部マグマ上昇によって発生した可能性を定量的に検証する。

研究実績の概要

2023年度は熱観測結果に関する論文投稿、放熱率の自動解析ツールの試作および地殻変動データの部分的な解析を実施した。
2020-2022年における熱観測結果を論文投稿したが、この解析に用いたデータは観測間隔が2週間と2021年噴火の前駆期間(約1ヶ月)に対して時間分解能が十分ではなかった。この点に関して、気象庁監視カメラ画像を用いることで放熱率の時間解像度の向上が期待できる。ただしこれらの画像データ量は膨大であり、従来の解析方法では多大な時間がかかるため、plume-riseモデルに基づき噴気放熱率を全自動で推定するツールを試作した。このツールを浅間山の噴気画像に対して適用した結果、放熱率は200-500MWと尤もらしい値が推定されており、阿蘇山の噴気に対しても有効であると考えられる。
本計画の当初は, 火口の熱赤外カメラ観測を定期的に実施し、2022年以降の放熱率を推定する予定であったが、購入したカメラジンバルがうまく機能せず現状保留している。また、申請者が異動したことで定期的な現地観測の実施は困難となった。そのため、新たに監視カメラ観測点を内牧に設置し、遠望からの連続観測に切り替えた。この監視カメラ画像に対して試作したツールを適用することで2022年以降の放熱率の時系列が推定できると期待される。
地殻変動に関しては, 干渉SAR、伸縮計および傾斜計のデータ解析を行なった。ALOS-2干渉SARデータの干渉解析を実施したが、膨大なデータ量のため現在全データの半分しか終了していない。2021年噴火の直前1週間の地殻変動に着目すると、傾斜記録からは明瞭な変動は検出できなかったが、ひずみ記録には顕著な変化が見られた。この変動を有限要素法を用いたモデル計算により予備的な解析を行なった結果、火口直下300-500m程度の圧力変化で説明可能なことがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

予定では初年度で地殻変動解析を終了する予定であったが、まだ干渉SARとGNSS解析が部分的にしか終了していない。しかし、当初計画にはなかった放熱率の自動解析ツールの試作品開発が成功した。また、有限要素法ソフトCOMSOL Multiphysicsを用いて浅部熱水系における圧力変動をモデル化するスキームを確立したため、今後実施する干渉SARやGNSS解析結果から熱水系由来の変動を抽出できた場合、直ちにソースモデル解析が行える環境が構築できた。これらを考慮して本計画の初年度は概ね順調に進行していると自己評価した。

今後の研究の推進方策

今後は干渉SAR時系列解析およびGNSSデータ解析から、火山性地殻変動を抽出しマグマ溜まりと熱水系由来の変動を抽出する。特に、マグマ溜まりの変動は広域にわたるため、熊本地震の余効変動の影響を強く受けており、この変動の補正がマグマ溜まり変動を抽出する鍵となろう。また、京大や気象庁保有の監視カメラ画像をもとに放熱率の自動推定を実施し、2021年噴火の前兆期間における放熱率変動を推定し、地殻変動の解析結果と合わせてマグマ熱水系における物質収支モデルの制約に繋げる。また、試作した放熱率の自動解析ツールの妥当性を確かめるために、別途現地の熱観測やガス観測を行い、それらの結果を相互比較・評価する必要が新たに生じた。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (1件)

すべて 2024

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Heat transport process associated with the 2021 eruption of Aso volcano revealed by thermal and gas monitoring2024

    • 著者名/発表者名
      Narita Shohei、Yokoo Akihiko、Ohkura Takahiro、Morita Masaaki、Mori Toshiya、Yoshikawa Shin
    • 雑誌名

      Earth, Planets and Space

      巻: 76 号: 1

    • DOI

      10.1186/s40623-024-01984-y

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2023-04-26   更新日: 2024-12-25  

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