研究課題/領域番号 |
23KJ1168
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分63010:環境動態解析関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
佐藤 拓哉 京都大学, 化学研究所, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2025年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 窒素固定生物 / ウイルス / ビローム / メタゲノム解析 |
研究開始時の研究の概要 |
窒素固定生物は、生物利用可能な窒素を海洋に導入する重要な生物群である。しかし、窒素固定生物量や固定された窒素の経路を制御しているはずの死滅過程(被食死、溶菌死)に関連する知見は不足している。本研究は、「窒素固定生物のウイルス感染死を定量し、感染ウイルスを推定することで、ウイルスが窒素固定生物の分布と生態系に与える影響を明らかにする」こと目的とする。このために、海洋における現場培養実験と研究室での環境ゲノム解析を組み合わせることで、窒素固定生物のウイルス感染死の定量的(どのくらい)・定性的(どのウイルスによってどの窒素固定生物が)特性を総合的に明らかにする。
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研究実績の概要 |
初年度にあたる2023年度は、当初の計画通り、外洋域における試料採取を中心とした研究活動を行った。具体的には、北太平洋亜熱帯域、亜寒帯域、親潮域、南大洋、南極海に至る広域において、ビローム解析、メタゲノム解析、窒素固定・基礎生産速度、ウイルス死滅速度解析のための試料を採取することに成功した。このうち、特にビローム解析とウイルス死滅速度に関して全球的な試料採取が大きく遅れている分野であり、貴重なサンプルを採取することができた。採取したサンプルのうち、ビローム試料については、密度勾配超遠心法によるウイルス精製過程を経てDNA抽出を行っており、シーケンシング外注に供した段階にあり、次年度以降に直ちに現場試料を解析できる段階まで来た。さらに、ウイルス感染速度のための予備的な結果も出揃い始めており、予備的ではあるものの、窒素固定性シアノバクテリアであるTrichodemsiumの細胞溶解が活発に進行していたことが示唆される結果を得ることができた。また、次年度以降に実施予定であるウイルス宿主推定のためのバイオインフォマティクス解析を既知ウイルスゲノムに対して行い一部その有用性を検証することができた。次年度以降は、現場採取試料とバイオインフォマティクス解析を組み合わせることで窒素固定生物-ウイルス関係、窒素固定生物のウイルス感染死の知見を得ることを目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度である2023年度は、窒素・リンが不足し窒素固定が卓越することが知られる北太平洋亜熱帯域、鉄が不足しがちな北太平洋亜寒帯域・親潮域・南大洋など広域での試料採取が完遂され、一部の試料については分析まで着手することができた。そんとあめ初年度の目的はおおむね達成できたと判断した。次年度以降、取得されるデータをもちいた成果発表に向けてとりまとめを開始する。
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今後の研究の推進方策 |
まずは、初年度に採取した大量のサンプルのデータを最優先する。具体的には、各種活性速度を質量分析計分析をもちいて定量的に明らかにする。さらに、DNA/RNA試料については随時、抽出精製を行い、シーケンシングを開始する。この際に、試料が多量にあることを考慮して窒素固定活性が高く、窒素固定生物密度が高いことが予想される試料から順番にデータする。得られた、現場ウイルスゲノム情報および原核生物ゲノム情報に基づき、ウイルス-宿主関係の推定を試みる。さらに、細胞画分のメタトランスクリプトーム解析を実施することにより、どのウイルスが、いつ、活発にウイルス感染を進行させていたかを明らかにする。特に、窒素固定生物のウイルス溶菌速度、感染ウイルスの活性周期、に着目しその他生物群との共通点、相違点を明らかにする。
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