研究課題/領域番号 |
23KJ1190
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分30020:光工学および光量子科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
嶋崎 幸之介 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2024年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2023年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 単一発光体 / 単一光子源 / ダイヤモンド色欠陥中心 |
研究開始時の研究の概要 |
近年注目を集めている光量子技術の実現には光ファイバへ高効率に光子を射出可能な単一光子源が必須である。この実現に向けて、微小共振器に単一発光体を結合したデバイスの研究がおこなわれている。しかし、微小共振器からの出力を光ファイバへ結合する際に用いる光学系の損失が問題となっている。そこで本研究では、細く延伸した光ファイバへ直接、微小共振器を加工した共振器内蔵ナノ光ファイバを用いる。これによって、先述の問題を解決し、高効率に光子を光ファイバへ結合可能な単一光子源の実現を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、単一シリコン空孔中心(SiV)を内包したダイヤモンド微粒子(ナノダイヤモンド)を、微小共振器を内蔵したナノ光ファイバ(NFBC)に結合したハイブリッドデバイスを作製し、高効率に同一性が高い光子を射出可能な単一光子源の実現を目指している。 令和5年度は、平均粒径50 nmのナノダイヤモンドを基板に分散させた状態で、Siイオンを照射することで、SiV内包ナノダイヤモンドの作製を行った。この方法は、これまで一般的に行われてきた、化学蒸着(CVD)により合成されたSiV中心内包ダイヤモンド薄膜を粉砕する方法より、高い収率でSiV中心内包ナノダイヤモンドを作製可能である。これまでに、Siイオン照射後の高温アニーリングの方法を工夫することで、室温において7nmと、高純度バルク結晶中のSiVで観測される値に匹敵する細い線幅を観測することに成功している。このサンプルを極低温で評価することにより、発光線幅が0.09 nmと分光器分解能限界へ到達した。この結果から、極低温においても本手法で作製したサンプルからの発光が、高純度バルクダイヤモンド中のSiV中心からの発光の線幅と遜色ないことを確認した。さらに、より正確な線幅の評価を行うために共鳴励起測定の実験系の構築を行った。 そのほかにも、ナノ光ファイバとSiV中心内包ナノダイヤモンドの結合実験や、NFBCの電磁界シミュレーションにも取り組んだ。 上記の取り組みに加え、導波路構造とナノ光ファイバの結合による高輝度単一光子源の開発にも着手した。輝度の高い単一発光体を内包する六方窒化ホウ素の導波路を作製を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度は「1.ナノダイヤモンド中のシリコン空孔(SiV)中心の作製・低温評価」、「2. SiV中心内包ナノダイヤモンドとナノ光ファイバの作製・評価」、「3. 共振器内蔵ナノ光ファイバの電磁界シミュレーション」の3項目の研究を行った。 項目1に関しては、イオン注入により作製した単一SiV中心内包ナノダイヤモンドの極低温(4K)評価を行った。その結果、高純度なバルクダイヤモンド中のSiV中心からの発光と同程度の線幅を確認することに成功した。さらに、詳細な線幅の評価のために共鳴励起実験の実験系を構築した。 項目2に関しては、室温において、SiV中心内包ナノダイヤモンドとナノ光ファイバとの結合をおこなった。その結果、SiV中心からの発光を光ファイバへ結合させることに成功した。 項目3に関しては、極低温で動作する共振器内蔵ナノ光ファイバのFTDTを用いた解析を行い、高い結合効率を実現できることを示した。 全体として、当初の計画通り順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、「1.ナノダイヤモンド中の単一SiV中心のコヒーレンス評価」、「2.極低温でのハイブリッドデバイスの動作」、「3.共振器内蔵ナノ光ファイバの作製」の3つの課題に取り組む予定である。 項目1に関しては、令和5年度に構築した共鳴励起実験系を用いて、イオン注入により作製したナノダイヤモンド中のSiV中心の共鳴励起実験を行い、コヒーレンスの評価を行う。ナノダイヤモンド中の不純物の影響で単一光子源としての特性が望ましいものでない場合には、高純度のバルクダイヤモンドを粉砕して作製したナノダイヤモンドににSiイオン注入を行い、サンプルの発光特性向上を試みる。 項目2に関しては、研究室で所有している大型の液体ヘリウムクライオスタットを用いて、ハイブリッドデバイスを極低温で動作させ、デバイスの結合効率やコヒーレンスの評価を行う。 項目3に関しては、令和5年度に計算した結果をもとに集束イオンビーム等を用いて、実際にNFBCの作製を行う。また、作製したデバイスのQ値等の評価を行い、得られた結果に基づいて構造の最適化を進める予定である。
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