研究課題/領域番号 |
23KJ1234
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分18010:材料力学および機械材料関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
横山 優花 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2024年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2023年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 骨 / 形態形成 / 成長板 / 連続体ベース粒子モデル / バイオメカニクス / 計算力学 |
研究開始時の研究の概要 |
荷重支持などの力学的機能を有する骨の形態は、成長過程において、骨にかかる力の影響を受けた細胞の活動により形成される。骨内部の力学状態を生体内で計測・制御することは困難であるため、力の向きや大きさにより骨形態が制御されるメカニズムは明らかでない。本研究では、力に応じた細胞活動による骨形態形成のマルチスケールシミュレーションモデルを新たに構築し、成長過程の骨への力が骨形態に及ぼす影響を評価することで、骨形態形成メカニズムを明らかにすることを目指す。
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研究実績の概要 |
荷重支持などの力学的機能を有する骨の形態は、成長過程において、骨にかかる力の影響を受けた細胞の活動により形成される。本研究では、力に応じた細胞活動による骨形態の形成メカニズムを明らかにすることを目的として、骨形態形成のマルチスケールシミュレーションモデルを新たに構築し、成長過程の骨への力が骨形態に及ぼす影響を評価する。2023年度には、研究代表者がそれまでに構築していた細胞の肥大と増殖にともなう組織形態形成の力学モデルである連続体ベース粒子モデルを拡張し、さらに細胞死、および、細胞による組織石灰化にともなう組織形態形成を解析可能とした。また、骨組織内部における細胞の分化を表現する数理モデルを構築し、連続体ベース粒子モデルに導入した。これにより、マウス第三中足骨の形態形成過程における組織全体の力学的ふるまいを、個々の細胞活動に基づき解析することが可能となった。本解析における骨組織内部の細胞分布を、解剖したマウスから摘出し染色した第三中足骨の観察結果と比較することにより、シミュレーションモデルの妥当性を検証した。さらに、本シミュレーションにおける力学解析により、形成過程の骨組織内部の特定の領域に特徴的な応力場が生じること、および、この特徴的な応力場が肥大軟骨細胞の体積成長に起因することが明らかとなった。この応力場は、骨組織内部の増殖軟骨細胞の配置換えに影響を及ぼすことを通じ、骨の長さや太さを制御することが示唆された。以上の結果は国際学術誌Boneに掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の予定通り、組織形態形成の力学解析手法を拡張し、細胞死や組織石灰化を考慮した組織形態形成の解析手法を構築することができた。また、骨組織内部における細胞分化を表現する数理モデルを構築し、長骨の形態形成シミュレーションを可能とした。シミュレーション結果をマウスから摘出・培養した骨の形態と比較することで、モデルの妥当性を検証した。さらに、当初の計画に加え、骨内部での細胞活動を変化させた条件下で長骨の形態形成解析を行うことで、細胞活動が骨組織内部に特徴的な応力場を生じさせ、細胞の配列を介して骨の伸長を促進するという、骨形態の制御メカニズムを新たに明らかにした。よって、本研究は当初の計画以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度までに構築した骨形態形成のシミュレーション基盤において、筋肉の収縮にともない骨に作用する外力を考慮することで、骨への力が骨形態に及ぼす影響を評価する。また、シミュレーション結果に基づき、マウス骨の摘出・培養実験においてさまざまな力学負荷条件を設定することで、骨形態を生体外で力学的に制御することを試みる。これらを通じ、骨形態が力に応じた細胞活動により制御されるメカニズムをさらに明らかにする。
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