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ゲノムDNAの標的ツイスティング技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23KJ1255
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分基金
応募区分国内
審査区分 小区分90110:生体医工学関連
研究機関京都大学

研究代表者

福手 淳平  京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2023-04-25 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2024年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2023年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
キーワードDNA二重らせん / ねじれ / トルク / 核小体 / リボソームDNA / RNAポリメラーゼ
研究開始時の研究の概要

本研究では、ゲノムDNAのねじれを操作することで疾患を治療する「標的ツイスティング技術」を開発することを目指す。先行研究により、DNAにねじれが生じるための条件の1つである「分子モーターによるトルクの発生」は検証されてきたが、もう1つの条件である「DNA軸回転の局所的な拘束」が細胞核内において生じる仕組みは未だ明らかでない。本研究では、自己集合タンパク質が重りとして働くことでDNA軸回転を拘束するとの仮説を立て、ねじれたDNAに対する蛍光イメージングおよびシーケンス解析を用いて仮説を検証する。さらに、重りタンパク質を人工的に作成し、疾患の原因遺伝子に誘導することで、標的ツイスティングに挑む。

研究実績の概要

本年度は、細胞核内の力学環境におけるunder-twisted DNA(二重らせんのねじれ角が小さいDNA)の発生機構の解明を目指した。まず、under-twisted DNAのマーカー分子としてビオチン化ソラレンに着目し、ビオチン化ソラレンがunder-twisted DNAに優先的に結合することをin vitroアッセイにより確かめた。続いて、ビオチン化ソラレンを用いて細胞内のunder-twisted DNAをin situで蛍光標識する手法を発展させた。そして、細胞核内のタンパク質に対する免疫蛍光染色および特定のDNAに対するin situハイブリダイゼーション解析を行い、格子構造化照明蛍光顕微鏡による超解像イメージングを実施することで、核小体内のリボソームDNAにおいてunder-twisted DNAが生じることを見出した。さらに、核小体内におけるunder-twisted DNA発生機構を解明するため、核小体構成タンパク質に対して摂動を与えた時のunder-twisted DNAの空間分布の変化を検証した。その結果、核小体内においては、RNAポリメラーゼIがトルクを発生するとともに、nucleophosmin集合体がDNAの軸回転を拘束することで、under-twisted DNAの発生を誘導することが明らかとなった。本研究から、特定のタンパク質集合体の結合を介して、DNAのねじれ角が力学的に制御される機構が存在する可能性が示された。本成果を応用することで、疾患遺伝子においてunder-twisted DNAの発生を誘導する「標的ツイスティング技術」を開発することが可能となると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

受給者はunder-twisted DNAの蛍光イメージングを行うことで、核小体内の力学環境におけるunder-twisted DNAの発生機構を明らかとすることに成功した。また、本成果をまとめた論文は、Communications Biologyに採択されたほか、複数の国際・国内学会で発表され、高い評価を受けている。以上より、力によるDNA二重らせん構造の変化を利用した遺伝子治療技術の開発に向け、着実に成果を挙げていると判断されるから。

今後の研究の推進方策

標的ツイスティング技術の開発に向け、まず、DNAの軸回転を拘束する「重り」として働く核内タンパク質を選抜することを目指す。そのために、nucleophosminをはじめとした候補タンパク質の野生型・変異型を発現・精製した後、in vitro転写系に添加し、under-twisted DNAの発生量を検証することで、最適な重りタンパク質を選抜する。次に、得られた重りタンパク質を細胞内で発現させることで、任意の場所でunder-twisted DNAを発生させることを試みる。最後に、Under-twisted DNAに対する蛍光イメージングおよびシーケンス解析を行うことで、標的個所においてunder-twisted DNAが発生していることを確かめる。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (7件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] The nucleolar shell provides anchoring sites for DNA untwisting2024

    • 著者名/発表者名
      Fukute Jumpei、Maki Koichiro、Adachi Taiji
    • 雑誌名

      Communications Biology

      巻: 7 号: 1 ページ: 83-83

    • DOI

      10.1038/s42003-023-05750-w

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Mechanical regulation of DNA underwinding in a cell nucleolus2023

    • 著者名/発表者名
      福手淳平
    • 学会等名
      CREST多細胞第5回領域会議
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 細胞核内におけるDNA underwinding の力学的理解2023

    • 著者名/発表者名
      福手淳平, 牧功一郎, 安達泰治,
    • 学会等名
      第61回日本生物物理学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Unveiling DNA untwisting mechanisms by in situ imaging2023

    • 著者名/発表者名
      Jumpei Fukute, Koichro Maki, Taiji Adachi
    • 学会等名
      第3回医薬系研究交流サロン
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 核小体における underwound DNA の力学的発生メカニズムの検証2023

    • 著者名/発表者名
      福手淳平, 牧功一郎, 安達泰治
    • 学会等名
      日本機械学会第35回エンジニアリング講演会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Exploring DNA underwinding mechanism in a nucleolus2023

    • 著者名/発表者名
      Jumpei Fukute, Koichiro Maki, Taiji Adachi
    • 学会等名
      6th Japan-Switzerland Workshop on Biomechanics
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [備考] 細胞核内のDNAが二重らせんの逆ねじりでゆるむ仕組みを解明

    • URL

      https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2024-01-24

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2023-04-26   更新日: 2024-12-25  

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