研究課題/領域番号 |
23KJ1290
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分44050:動物生理化学、生理学および行動学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田中 陽一 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2024年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2023年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 概日リズム / G蛋白質共役受容体 / 体内時計 / 視交叉上核 |
研究開始時の研究の概要 |
G蛋白質共役受容体(GPCR)は、薬理学上最も重要でかつ効率の良いターゲット分子群である。特に、オーファンGPCRであるGpr176は体内時計の最高位中枢である視交叉上核(SCN)に発現し、G蛋白質Gzと共役して生体リズム調整能を有する。しかし、その制御直下にあるサイクリックAMP(cAMP)シグナルがいかにしてGpr176/Gzシグナルによって制御されているのかは分かっていない。本研究では、ex vivoおよびin vivoにおけるSCNのGpr176/Gzシグナルの解析を通じて脳内中枢時計のcAMP活性変動による行動・休息タイミング調節機構の解明に挑む。
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研究実績の概要 |
G蛋白質共役受容体(GPCR)は、薬理学上最も重要でかつ効率の良いターゲット分子群である。特に、体内時計の最高位中枢である視交叉上核(SCN)において時間調節を担うオーファン受容体Gpr176は、その発現が蛋白質レベルで顕著な日周変動を示し、かつ、その増減が基礎活性に影響を及ぼすユニークなGPCRであることから、生体リズム異常を伴う不眠症や生活習慣病に対する新しい治療薬の標的となることが期待される。このGpr176はこれまでよく解析されてきた他のGPCRとは異なり、Gzという特殊なG蛋白質を介して下流にシグナルを伝えることが判明している。GzはGi/oファミリーに属するG蛋白質の1つだが、その生化学的・生理学的な性質や役割については他のGiメンバーに比べて未知な点が多く、その制御下にあるシグナルがいかにしてGpr176/Gzによって制御されて中枢リズムの調節に寄与しているのかは分かっていない。本研究では、ex vivoおよびin vivoにおけるSCNのGpr176/Gzシグナルの解析を通じて脳内中枢時計SCNの活性変動による動物個体の活動・休息タイミング調節機構の解明に取り組んだ。また、従来頻用されてきたモーションセンサーを用いるカウント式の行動測定方法では捉えきれない行動プロファイルを探索するために、暗視用赤外線カメラを用いた長期ビデオトラッキングシステムの構築とそのビデオデータを用いた行動量の自動定量化プロトコル樹立を計画し、画像二値化法とデータクラスタリングアルゴリズムを応用し組み合わせることでこれを達成した。この方法は今後の概日行動リズム研究の基盤の一つとなりえるものと期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画に従って体内時計中枢SCNにおけるGpr176/Gzとその下流シグナルの解析をex vivoおよびin vivoレベルで実施した。特に行動測定に際しては、従来の測定方法では捉えきれない行動プロファイルを探索する新たな行動定量化法の確立に成功した。これにより、より詳細な動物個体の活動・休息タイミング調節機構研究につながると考えられるため、計画は順調に進んでいるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度に樹立した新規行動量自動定量化プロトコルを活用して、脳内中枢時計SCNの活性変動による行動・休息タイミング調節機構を明らかにする予定である。
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