研究実績の概要 |
本年度は、単一ハロゲン化鉛ペロブスカイト(APbX3, A = Cs, MA (CH3NH3) , FA HC(NH2)2,X = Cl, Br, I)ナノ粒子の(1)トリオン・バイエキシトンの粒子サイズ依存性、(2)印加電場に対する光学応答、に関する研究を主に行った。 (1)では、異なるAサイトカチオン(Cs, FA)と異なるハロゲンイオン(Br, I)のペロブスカイトナノ粒子を用いて、極低温での発光スペクトルを計測することで束縛エネルギーの値を決定し、またその粒子サイズ依存性を正確に計測した。実験値の物性値による規格化および有効質量近似を用いた理論計算との組み合わせから、トリオン・バイエキシトンの束縛エネルギーの粒子サイズ依存性にはペロブスカイトの組成による影響は少なく、量子閉じ込め効果のみによって決まること、そして動的遮蔽効果が大きな影響を与えることを明らかにした。得られた研究成果は、ACS Nano誌に公表した。 (2)では、フォトリソグラフィーを用いて電極を作製し、極低温で単一CsPbBr3ナノ粒子発光の電場応答を計測した。その結果、印加する電場に対して非対称な発光ピークエネルギーシフトを示し、ナノ粒子内に内部電場が生じていることを示した。また、フォノンレプリカ発光強度から見積もられる励起子格子相互作用強度と求められた内部電場の大きさには相関があり、内部電場によって励起子格子相互作用強度が変化することを明らかにした。(2)に関する研究成果は、応用物理学会にて口頭発表し、また現在学術論文誌に投稿準備中である。
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