研究課題/領域番号 |
23KJ1347
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分10040:実験心理学関連
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
梶原 隆真 京都大学, 教育学研究科, 特別研究員(DC1)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2025年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2024年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2023年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
|
キーワード | 身体活動 / 不安低減効果 / 内受容感覚 / 個人差 |
研究開始時の研究の概要 |
「不安」は様々な精神疾患と密接に関連するが,疾患のない個人でも日常的に体験する感情である.先行研究により,有酸素運動やレジスタンス運動(筋肉に負荷をかける動きを繰り返す運動)などの身体活動は,臨床場面だけではなく日常の不安傾向を緩和する手段として提案されている.しかし,身体活動の不安低減効果には個人差が存在し,その個人差がどのような要因により生じるかは未だ明らかとなっていない.このことは個人特徴に合わせた適切な介入法を創出する上で課題となっている.そこで本研究では,「内受容感覚」と呼ばれる身体内部の感覚を知覚する傾向の個人差に着目し,身体活動の不安低減効果の個人差を生じさせる要因を探究する.
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は、内受容感覚の個人差に着目し、身体活動の不安低減効果の個人差を生じさせる要因を探究することである。令和5年度前半は、モデルの妥当性を検討するため主に文献調査に注力し、医学分野の情報を収集した。そこで、身体の慢性炎症は脳の炎症(神経炎症)を引き起こし、その炎症状態はネガティブな感情の生成されやすさと関係する可能性が提案されていること、さらに神経炎症は、内受容感覚の予測誤差の修正と関係している可能性があることを学習した。身体活動には身体の炎症抑制効果があるとされている。これらの知見を統合すると、身体活動は身体の炎症抑制効果を通じ、ネガティブな感情と内受容感覚のそれぞれに個別に影響を及ぼす可能性が考えられる。また令和5年度前半は、神経炎症についての文献調査と並行し、身体の免疫反応と関連が強い腸内細菌叢と、認知制御機能である実行機能が関連する可能性について、共同研究者として論文執筆を行った。 本研究の当初の研究計画では、内受容感覚の個人特性を、身体活動の影響を受けない固有の特性と仮定していた。しかし令和5年度前半の文献調査の結果から、身体活動が内受容感覚の個人特性へも影響を及ぼす経路を組み込み、新たなモデルを作成する必要が生じた。そこで令和5年度後半は、モデルの修正に伴う研究計画の見直しを行った。具体的には従来のモデルと、身体活動が内受容感覚の個人差と関連する経路を組み込んだ新たなモデルとの差異を整理し、計測物に大きな変更が無い事、統計解析手法へは改善が必要である事を確認し、解析手法案の修正と実験実施の準備を進めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の当初の研究計画では、内受容感覚の個人特徴を、身体活動の影響を受けない固有の特性と仮定していた。しかし、医学領域では近年、身体の慢性炎症は神経炎症を引き起こし、炎症状態はネガティブな感情の生成されやすさに関係している可能性、さらに神経炎症は内受容感覚の予測誤差の修正と関係している可能性がそれぞれ提案されている。したがって、身体活動は、身体の炎症抑制効果を通じ、ネガティブな感情と内受容感覚のそれぞれに個別に影響を及ぼす可能性が考えられる。そのため、身体活動が内受容感覚の個人特性へも影響を及ぼす経路を組み込んだ新たなモデルを作成し計画を修正する必要が生じた。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究は、身体活動の不安低減効果の個人差を生じさせる要因を探究することを目的としている。不安傾向と内受容感覚の特性には関係があるとされているが、両者ともに身体の慢性炎症の影響が存在する可能性があるため、身体活動が不安を低減する機序として炎症抑制効果に着目する。この機序を検証するために、身体活動が炎症抑制効果を通じ、質問紙により計測される不安傾向と、内受容感覚特性のそれぞれに影響を及ぼす可能性について個別に調査する。続いて、ベースラインの炎症レベルの個人差が身体活動による不安低減効果の個人差と関係するかについて調査を行う。
|