研究課題/領域番号 |
23KJ1350
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分16010:天文学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
成田 拓仁 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2025年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2024年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 超新星残骸 / 星周物質 / X線天文学 |
研究開始時の研究の概要 |
太陽の10倍を超えるような大質量星は、進化の最後に超新星爆発を起こし、中性子星などのコンパクト天体を残す。その中には規則的な変光周期や強い磁場を持つ、パルサー及びマグネターなど特異な中性子星も存在する。しかし、それを生み出す爆発機構や親星の特徴はよく分かっていない。近年、超新星爆発の残骸には、星が進化の間に吹き出した物質である星周物質が含まれており、その元素組成は親星を反映していることが分かってきた。本研究では、超新星残骸の星周物質に着目し、既存の検出器と打ち上げ間もないXRISMを利用したX線精密分光から親星を推定するという全く新しいアプローチで、コンパクト天体の多様な性質の起源に迫る。
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研究実績の概要 |
当初の予定通り、銀河系内の超新星残骸のいくつかについてX線回折格子による過去の観測を用いた解析を行い、自身を主著とする論文にまとめた。昨年度より解析を進め論文にまとめていたRCW103の論文は出版され、今年度より解析を始めたG292.0+1.8については投稿し、レフェリー対応中である。前者については、超新星残骸の親星の回転速度を初めて制限し、星周物質の元素組成比を用いた親星推定手法を確立した。また後者はこの手法を用いることで、外層がはがされた状態で爆発した星の残骸であることを突き止めた。本成果は、超新星残骸の親星推定について、これまで使われていた爆発噴出物や形状などとは独立した新しい手法を与えるものであり、本研究の目的であるコンパクト天体の多様性との関係性のみならず爆発する星についての更なる制限を可能とすることが期待される。特に初期回転速度や連星か単独星かといった情報については本研究の手法によってこれまでよりも正確に推定することが可能になる。これらの成果は国際学会などの複数の研究会で発表している。また今年度打ち上げられたXRISM衛星の観測提案を行った。観測提案については衛星の観測器の不具合のため、当初の予定通りの星周物質の観測ではなく、爆発噴出物を用いた観測を提案した。 また本年度は当初の予定とは別に、2022年10月におこったマグネターのX線バーストについて、スペクトル解析を主導し、第二著者として論文を投稿し、出版された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、初年度解析予定の天体についてはすべて解析を行い、そのうち1つについては論文化できている。今年度に打ちあがったXRISM衛星の初期観測データも使用し解析を行う予定であったが、検出器の不具合により、予定していた低エネルギー帯域の観測が困難になった。この現状を受けて、観測天体の不足を補うために、改めて銀河系内の超新星残骸について、すべての過去観測を確認し、星周物質の元素組成が測定可能な天体を洗い出した。詳細な観測はまだ行えていないが、XRISM衛星のデータを使わずに本研究の目的を達成するのに十分な天体数を確保できる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き当初の予定にあった過去観測データの解析を行い、観測提案が通ればそのデータも用いて解析を行う。またXRISM衛星の観測やそのほかの衛星を用いた観測についても、適宜使用して引き続き議論を行う。
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