研究課題/領域番号 |
23KJ1437
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分33020:有機合成化学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
筒井 裕哉 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2024年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2023年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 典型元素 / ルイス酸触媒 / ホウ素 / アルミニウム / グリコシル化 |
研究開始時の研究の概要 |
典型金属錯体の高機能化に基づく遷移金属触媒の代替と生物機能分子の効率的合成を目的に光活性部位を導入したカゴ型アルミニウム錯体を創成する。有機色素を有するアルミニウム錯体を合成し、電子移動に基づいた立体選択的グリコシル化を開発する。また発色団を持つアルミニウム錯体を用いて、エキシマー形成を利用したペプチド結合形成を展開する。最終的に複合型糖ペプチド鎖合成を行い、医薬品合成の新たな方法論を確立する。
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研究実績の概要 |
本研究課題では、典型金属錯体の高機能化に基づく遷移金属触媒の代替と生物機能分子の効率的合成が目的である。本年度は、典型元素であるホウ素およびアルミニウムを中心金属とした独自の骨格を有する新規錯体をそれぞれ合成した。合成した錯体をルイス酸触媒として、官能基/立体選択的な結合形成反応へと適用した。 これまでに申請者は、電子的/立体的性質が同程度である芳香族アルデヒドと脂肪族アルデヒドを識別するホウ素錯体を合成している。本年度は、この特異な基質選択性を示すホウ素錯体について、機械学習を用いた解析を行い、従来を上回る選択性の向上に成功した。本錯体は分子内の炭素骨格認識にも適用でき、アミノ酸誘導体における官能基選択的な炭素―炭素結合形成を達成した。また詳細なアルゴリズム解析により、触媒設計における新たな知見を見出した。今後、さらなる選択性の向上と基質一般性の拡大を目指す。 アルミニウム錯体においては、当初想定した構造とは異なる多核錯体を合成するに至った。本錯体は興味深い構造を有しており、各種NMR測定およびIR測定、X線結晶構造解析からその物性を明らかにした。本多核錯体をグリコシル化反応の触媒として用いると、これまでに報告した単核錯体を大きく上回る立体選択性を示した。また、本錯体はグリコシルドナーのみならず、グリコシルアクセプターとの間にも相互作用を有することを明らかにした。今後は、位置選択的なグリコシド結合形成へと展開する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述の通り、ホウ素錯体について機械学習の活用により基質選択性の改善に成功した。また触媒設計の新たな知見を得ており、さらに高度な選択性制御に向けた取り組みへの指針として期待できる。本テーマについて、論文投稿を行った。また、アルミニウム錯体についても、グリコシル化反応の立体選択性の向上を達成し、位置選択性の制御に向けた検討を行う段階にある。本内容も現在論文投稿準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
多核アルミニウム錯体について、位置選択的グリコシル化反応の開発に取り組む。アルミニウム上の配位子が反応性につよく関わることを見出しており、錯体の配位子修飾により選択性向上を狙う。また、発色団を有するホウ素錯体の創成を行う。分光測定から錯体の光物性を明らかにし、光制御型ルイス酸として選択的な変換反応への利用を行う。
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