• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

レーザー駆動中性子源による共鳴吸収分析-元素別・透過・瞬間温度計測をめざして-

研究課題

研究課題/領域番号 23KJ1466
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分基金
応募区分国内
審査区分 小区分31010:原子力工学関連
研究機関大阪大学

研究代表者

LAN ZECHEN  大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2023-04-25 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2024年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2023年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
キーワードレーザー駆動中性子源 / 中性子共鳴分析
研究開始時の研究の概要

阪大レーザーで開発されたレーザー駆動中性子源は,1cm の中性子源から約1 ナノ秒の時間幅で,現時点の世界最高値の高速中性子を発生し,これを中性子減速材で減速して冷中性子を含む連続エネルギー分布の中性子を発生することに成功している.レーザー駆動中性子源がコンパクトかつ単パルスであることを利用することで,加速器中性子源では約10m のビームラインが必要となる共鳴吸収分析を、1mのビームラインで、かつ1パルスの中性子で計測することが実現可能となる.これが実現すれば、同位体種や温度などの原子核情報を瞬間的に計測する新しい手法に繋がる.

研究実績の概要

今年度実験で,中性子ビームラインに沿ってB2O3入りポリエチレンとニッケルで構成する中性子コリメーターを開発した.B2O3入りポリエチレンは近年でよく使われる中性子吸収材で,チャンバー構造物からの散乱中性子を吸収する役目である.その一方で,ニッケルはeV領域の中性子に対して高い弾性散乱断面積を持つ,共鳴吸収領域の中性子収束器として設計した.まだ,飛行時間計測器の改良を行った.高速光電子増倍管の信号出力回路に時間Gate回路を組み入れることで,レーザーと高速イオン照射から発生したX線信号の影響を抑制することを達成した.改良した飛行時間計測器のデザインは論文化して,Quantum Beam Science誌で公開された.
以上の進展を取り込んで,レーザー駆動中性子発生と共鳴吸収計算実験を実施した.実験中,共鳴吸収サンプルとしてのタングステン平板を高温状態に加熱し,中性子共鳴吸収のピーク幅から温度依存性を実証した.実験データを中性子吸収断面積データに解析し,共鳴吸収の固有幅とノイズを取り除くことで,温度に依存する中性子共鳴吸収のドップラー幅が得られた.更に,ドップラー幅の実験値を理論式で検証し,実験結果が理論計算に合うことが判明した.この結果はシングルショットのレーザー駆動中性子の手法でサンプル温度を初めて計測した成果であると考えられる.以上の成果を論文化して,Nature Communications誌に投稿した.現在ではRound1のreviewが終わって,reviewerから肯定的なコメントを貰った.これから論文のacceptanceに目標として修正する.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本来の計画では、2023年度で中性子共鳴吸収の計測を行い、2024年度でレーザー駆動中性子源を利用し、中性子共鳴吸収の温度依存性データを実験で計測する予定でした。しかし、2023年度で温度依存性の目的を既に達成して、論文投稿まで進めていた。これは、計測器と中性子ビームの開発によって、レーザー駆動中性子源の期待以上のパフォーマンスを引き出した。残り1年は更なる進展を期待できそうです。

今後の研究の推進方策

今までの実験成果で中性子共鳴吸収の温度依存性を実証しましたが、温度計測と共に元素分析などの応用を実現するため、計測精度を大幅に向上する必要がある。2023年度の実験で、ゲートつきTOF中性子計測器を用いることで、レーザー照射時点で発生したX線背景を抑えたが、中性子信号と同じタイミングで計測される背景(反射、散乱によるガンマ線、中性子など)の影響はまだ大きい。それによって、中性子共鳴吸収の信号を定量分析する時の誤差も大きくなり、温度に変換すると10~30 K程度になる。この問題を解決するために、中性子信号の背景を低減する。2024年度では、引き続き中性子ビームライン(遮蔽、コリメーターなど)を開発し、改良する。
まだ、レーザー駆動中性子源による単ショットでの中性子生成量は高く、大阪大学レーザー科学研究所では10の11次方を達成している。これを利用することで、今まで計測困難であるKeVエネルギー領域の中性子共鳴を実験で相対的に簡単で計算できる可能性がある。2024年度の実験で、新しい中性子計測器を設計し、KeV領域の中性子共鳴計測を目指す。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (5件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Development of a Time-Gated Epithermal Neutron Spectrometer for Resonance Absorption Measurements Driven by a High-Intensity Laser2024

    • 著者名/発表者名
      Lan Zechen、Arikawa Yasunobu、Abe Yuki、Mirfayzi Seyed Reza、Morace Alessio、Hayakawa Takehito、Wei Tianyun、Yogo Akifumi
    • 雑誌名

      Quantum Beam Science

      巻: 8 号: 1 ページ: 9-9

    • DOI

      10.3390/qubs8010009

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Laser-Driven Neutron Generation Realizing Single-Shot Resonance Spectroscopy2023

    • 著者名/発表者名
      Yogo A.、Lan Z.、Arikawa Y.、Abe Y.、Mirfayzi S.?R.、Wei T.、Mori T.、Golovin D.、Hayakawa T.、Iwata N.、Fujioka S.、Nakai M.、Sentoku Y.、Mima K.、Murakami M.、Koizumi M.、Ito F.、Lee J.、Takahashi T.、Hironaka K.、Kar S.、Nishimura H.、Kodama R.
    • 雑誌名

      Physical Review X

      巻: 13 号: 1 ページ: 011011-011011

    • DOI

      10.1103/physrevx.13.011011

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] Nuclear Thermometer using Single Pulse of Laser-driven Neutron Source2023

    • 著者名/発表者名
      Z. Lan, Y. Arikawa, Y. Abe, S. R. Mirfayzi, T. Wei, T. Mori, D. Golovin, T. Hayakawa, N. Iwata, S. Fujioka, M. Nakai, Y. Sentoku, K. Mima, M. Murakami, M. Koizumi, F. Ito, J. Lee, T. Takahashi, K. Hironaka, S. Kar, H. Nishimura, R. Kodama and A. Yogo
    • 学会等名
      Nuclear Photonics 2023, poster section
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Nuclear Thermometer using Single Pulse of Laser-driven Neutron Source2023

    • 著者名/発表者名
      Z. Lan, Y. Arikawa, Y. Abe, S. R. Mirfayzi, T. Wei, T. Mori, D. Golovin, T. Hayakawa, N. Iwata, S. Fujioka, M. Nakai, Y. Sentoku, K. Mima, M. Murakami, M. Koizumi, F. Ito, J. Lee, T. Takahashi, K. Hironaka, S. Kar, H. Nishimura, R. Kodama and A. Yogo
    • 学会等名
      AAPPS-DPP, 2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] シングルショット共鳴分光を実現するレーザー駆動中性子源2023

    • 著者名/発表者名
      Z. Lan, Y. Arikawa, Y. Abe, S. R. Mirfayzi, T. Wei, T. Mori, D. Golovin, T. Hayakawa, N. Iwata, S. Fujioka, M. Nakai, Y. Sentoku, K. Mima, M. Murakami, M. Koizumi, F. Ito, J. Lee, T. Takahashi, K. Hironaka, S. Kar, H. Nishimura, R. Kodama and A. Yogo
    • 学会等名
      レーザー学会第44回年次大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演

URL: 

公開日: 2023-04-26   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi