• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

廃プラスチックの変換を促進する多元素協働触媒の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23KJ1473
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分基金
応募区分国内
審査区分 小区分34030:グリーンサステイナブルケミストリーおよび環境化学関連
研究機関大阪大学

研究代表者

硲田 捷将  大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2023-04-25 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2024年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2023年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
キーワード廃プラスチック / ケミカルリサイクル / アップサイクル / グリーンケミストリー / 水素化反応 / ナノ粒子
研究開始時の研究の概要

本研究の目的は「プラスチック廃棄物から高付加価値化合物へと変換する触媒的アップサイクル法の開発」である。プラスチックは幅広い用途で使用される必要不可欠な物質である一方で、プラスチック廃棄物が自然環境中に堆積され環境問題を引き起こしている。本研究では、複数の金属元素を精密制御した多元素協働触媒を開発する。そして開発した触媒により、プラスチック廃棄物を原料として有用化合物を合成することで、循環型社会の構築に貢献する。

研究実績の概要

本課題では、プラスチック廃棄物、特にポリエステルから高付加価値化合物へと変換する触媒的アップサイクル法の開発に取り組む。目標達成に向けて初年度ではまず、金属ナノ粒子と金属酸化物を組み合わせた触媒を開発し、低分子カルボン酸の還元的アミノ化反応をモデル反応として触媒活性を評価した。カルボン酸はポリエステルと同じアシル化合物であり、また、天然に豊富に存在する炭素資源であることから、本反応は持続可能なアルキルアミン合成手法としても重要である。種々の検討の結果、酸化アルミニウム上に白金ナノ粒子とモリブデン酸化物を担持した固体触媒(Pt-Mo/γ-Al2O3)が温和な条件下カルボン酸の還元的アミノ化反応を促進することを見出した。既報のカルボン酸の還元的アミノ化反応を促進する固体触媒では、水素圧5 MPaの厳しい反応条件を必要とする。一方、Pt-Mo/γ-Al2O3は世界で初めて常圧水素下で本反応を進行させ、活性の低下なく複数回の再使用も可能であった。さらに、本触媒は幅広いカルボン酸と窒素源の組み合わせに適用でき、特にバイオマスから得られる高級脂肪酸から対応する高級脂肪族アミンを効率的に与えた。種々のキャラクタリゼーションおよび理論計算の結果から、白金ナノ粒子が水素を、モリブデン酸化物がカルボン酸を活性化する協奏的触媒作用により温和な条件下カルボン酸の還元的アミノ化反応が進行することがわかった。続いて開発したPt-Mo/γ-Al2O3を用いて本来の目的であるポリエステルのアップサイクルを検討したところ、目的化合物を得ることに成功した。本研究成果はプラスチック廃棄物のアップサイクル法を開発する上で重要な知見を与え、循環型社会の構築に繋がると期待できる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当初の計画として初年度では、ポリエステルのアップサイクルを可能にする新規固体触媒の開発を目的としていた。実際にPt-Mo/γ-Al2O3触媒の開発に成功し、本触媒がカルボン酸の還元的アミノ化に高い活性を示すことについて論文発表した。そしてPt-Mo/γ-Al2O3触媒をポリエステルのアップサイクル用いたところ目的生成物を得られ、初年度の目標を達成した。さらに、2年目に予定していた触媒の構造解析とその結果を基にした触媒の改良に着手し、新たに開発した触媒が効率的にポリエステルのアップサイクルを促進することを見出した。以上、Pt-Mo/γ-Al2O3触媒の開発に成功し、改良した触媒が目標とするポリエステルのアップサイクルに適用できたことから「当初の計画以上に進展している」と判断した。

今後の研究の推進方策

今後は、より実用的なポリエステルのアップサイクルを目指して研究を行う。これまで純粋なポリエステル試薬を用いてアップサイクルを検討してきたが、実際のプラスチック廃棄物は他のプラスチックや着色料との混合物であり不純物存在下での反応が不可避となる。そこで不純物を加えての触媒反応や、実物のポリエステルのアップサイクル等を検討し、実用性を評価する。加えてポリエステルだけでなく、ポリアミドやポリカーボネートといった幅広いプラスチックのアップサイクルへと適用できる触媒反応系の構築を目指し、触媒の改良を続ける。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Reductive amination of carboxylic acids under H<sub>2</sub> using a heterogeneous Pt?Mo catalyst2024

    • 著者名/発表者名
      Sakoda Katsumasa、Yamaguchi Sho、Honjo Kazuki、Kitagawa Yasutaka、Mitsudome Takato、Mizugaki Tomoo
    • 雑誌名

      Green Chemistry

      巻: 26 号: 5 ページ: 2571-2576

    • DOI

      10.1039/d3gc02155f

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Sustainable Alkylamine Synthesis through Reductive Amination of Carboxylic Acids under H2 over a Pt-Mo Catalyst2024

    • 著者名/発表者名
      Sakoda Katsumasa、Yamaguchi Sho、Mitsudome Takato、Mizugaki Tomoo
    • 学会等名
      18th International Congress on Catalysis (ICC2024)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 環境調和型アルキルアミン合成 ~不均一系PtーMo触媒によるカルボン酸の還元的アミノ化反応~2023

    • 著者名/発表者名
      硲田捷将、山口渉、満留敬人、水垣共雄
    • 学会等名
      第12回JACI/GSCシンポジウム
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] PtーMo触媒による高効率なカルボン酸の還元的アミノ化反応2023

    • 著者名/発表者名
      硲田捷将、山口渉、満留敬人、水垣共雄
    • 学会等名
      第132回触媒討論会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Reductive Amination of Carboxylic Acids over a Heterogeneous Pt-Mo Catalyst under Mild Conditions2023

    • 著者名/発表者名
      Sakoda Katsumasa、Yamaguchi Sho、Mitsudome Takato、Mizugaki Tomoo
    • 学会等名
      International Symposium on Catalysis and Fine Chemicals (C&FC2023)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [備考] 天然に多く存在するカルボン酸から有用なアルキルアミンを合成する新触媒

    • URL

      https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2024/20240105_3

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2023-04-26   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi