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ナトリウム利尿ペプチド欠乏による代謝異常を合併する心不全モデルの解析

研究課題

研究課題/領域番号 23KJ1480
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分基金
応募区分国内
審査区分 小区分53020:循環器内科学関連
研究機関大阪大学

研究代表者

岡本 千聡  大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2023-04-25 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2024年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2023年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
キーワードナトリウム利尿ペプチド / 脂肪滴
研究開始時の研究の概要

心臓から分泌されるホルモンであるナトリウム利尿ペプチド(NP)が欠乏することにより生じる、代謝異常を合併する心不全モデルの分子機序を解明することを目的とする。
NPの心不全感受性エンハンサー(遺伝子の転写を増加させる機能を持ったDNA配列)をノックアウトしたCR9KOマウスに正常食/高脂肪食を与え、心機能及び、心臓、肝臓、脂肪組織、骨格筋といった各組織の、代謝物質の取り込みや代謝フラックスを評価する。その中でNP欠乏状態に対する介入の標的となりえる分子機序を同定し、様々な細胞を用いてその詳細を確認する。そしてその分子機序への介入することによるCR9KOマウスの表現型の変化を評価する。

研究実績の概要

ナトリウム利尿ペプチド(NP)欠乏状態のマウスモデル(CR9-KOマウス)における心臓の糖利用の亢進の分子機序の解明を目指し、エネルギー基質としての脂肪酸利用障害に着目した。心臓組織のOil Red O染色を実施し、CR9-KOマウスでは脂肪滴が有意に増加していることを確認した。さらに、心臓トリグリセリド(TG)量の定量分析により、CR9-KOマウスでTG量が有意に多いことが明らかになった。これらの結果から、CR9-KOマウスではエネルギー基質としての脂肪酸利用が低下しているため、心臓で糖利用が亢進していると考えた。NPはホルモン感受性リパーゼ(HSL)を介した脂肪分解作用が報告されているため、脂肪滴分解の障害が脂肪酸利用の低下に影響していると仮説を立て、HSLとNPの関係をin vitroで評価した。新生ラット心筋細胞において、ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド(hANP)負荷及びHSLの過剰発現による脂肪滴の分解能の亢進、PKG活性化部位を失活させたHSL(S26A変異体)での分解能の低下を確認した。これらの結果は、NPによるPKGを介した脂肪滴の分解作用の低下が、脂肪酸利用障害及び糖利用の亢進をきたしている可能性を示唆するものであった。また、NP 欠乏状態における高脂肪食の影響に関しては、高脂肪食で飼育したCR9-KOマウスにおいて、高脂肪食で飼育した野生型マウスと比較して、血中レプチン濃度が著明に上昇していることを確認し、NP欠乏と高脂肪食によって誘発されるメタボリックシンドローム及び心機能の保たれた心不全(HFpEF)におけるレプチン抵抗性が関連している可能性を見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

NP 欠乏状態における心臓の糖利用亢進の分子機序の解明、及びNP 欠乏状態における高脂肪食の影響の解明において、一定の進展が認められたため。

今後の研究の推進方策

放射線トレーサを用いた脂肪酸のβ酸化を評価する系を確立し、CR9-KOマウスおよび新生ラット心筋細胞において、心臓の代謝スイッチの評価を継続する。さらに、心臓および肝臓組織のリピドロミクス解析および肝臓のRNA seq解析を実施し、更なるデータを得る。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Relative BNP Deficiency May Exist in Diastolic Dysfunction in Subclinical Population. Circulation Reports2024

    • 著者名/発表者名
      Okamoto Chisato、Tsukamoto Osamu、Hasegawa Takuya、Matsuoka Ken、Amaki Makoto、Kanzaki Hideaki、Izumi Chisato、Takashima Seiji、Ito Shin、Kitakaze Masafumi
    • 雑誌名

      Circulation Reports

      巻: 6 ページ: 151-160

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Association Between B-Type Natriuretic Peptide Deficiency and Left Ventricular Concentric Hypertrophy in Subclinical Individuals2024

    • 著者名/発表者名
      Okamoto Chisato、Tsukamoto Osamu、Hasegawa Takuya、Matsuoka Ken、Amaki Makoto、Kanzaki Hideaki、Izumi Chisato、Takashima Seiji、Ito Shin、Kitakaze Masafumi
    • 雑誌名

      JACC: Asia

      巻: 4 号: 1 ページ: 87-88

    • DOI

      10.1016/j.jacasi.2023.10.002

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Restoration of Cardiac Myosin Light Chain Kinase Ameliorates Systolic Dysfunction by Reducing Superrelaxed Myosin2023

    • 著者名/発表者名
      Hitsumoto T, Tsukamoto O, Matsuoka K, Li J, Liu L, Kuramoto Y, Higo S, Ogawa S, Fujino N, Yoshida S, Kioka H, Kato H, Hakui H, Saito Y, Okamoto C, Inoue H, Hyejin J, Ueda K, Segawa T, Nishimura S, Asano Y, Asanuma H, Tani A, Imamura R, Komagawa S, Kanai T, Takamura M, Sakata Y, Kitakaze M, Haruta JI, Takashima S.
    • 雑誌名

      Circulation

      巻: - 号: 25 ページ: 1902-1918

    • DOI

      10.1161/circulationaha.122.062885

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Relative BNP Deficiency Status Associates Left Ventricular Concentric Hypertrophy in Subclinical Population2024

    • 著者名/発表者名
      Chisato Okamoto
    • 学会等名
      第88回 日本循環器学会学術集会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-26   更新日: 2024-12-25  

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