研究課題/領域番号 |
23KJ1539
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分59030:体育および身体教育学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
谷口 星来 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | パーキンソン病 / すくみ足 / 脳機能 / 因果的脳結合 / リハビリテーション |
研究開始時の研究の概要 |
パーキンソン病のすくみ足は、転倒の引きがねとなり、パーキンソン病患者の生活の質を著しく低下させる。高騰する医療費の削減のみならず、患者の生活の質を向上するため、すくみ足の機序解明と効果的なリハビリテーション治療法の開発が急務である。 本研究では、歩行開始に重要な役割を担う中脳歩行誘発野(the mesencephalic locomotor region)を主とした脳内ネットワークがどのようにすくみ足の発生に関与しているかを明らかにする。その上で、すくみ足改善のための新規リハビリテーション治療法の開発を目指すものである。
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研究実績の概要 |
#1.すくみ足の評価法の開発:NFOG-Q(New Freezing of Gait Questionnaire)の日本語版を作成し、その妥当性と信頼性を検討した。標準化されたプロトコールに従ってNFOG-Qを翻訳後、パーキンソン病(PD)患者56名にNFOG-Qを実施した。NFOG-Q得点の四分位範囲は10.0-25.3(範囲0-29点)であった。NFOG-Q得点は、MDS-UPDRSパートⅡの項目2.12(歩行とバランス)、2.13(すくみ足)、3.11(すくみ足)、3.12(姿勢の安定性)、および姿勢の安定性と歩行困難の得点と強い相関が認められたが、MDS-UPDRS項目3.10(歩行)、転倒回数、罹病期間、H&Yステージ、Timed Up-and-Goテストの時間とは中等度の関連しかなかった。内的一貫性は良好であった(α=0.96)。NFOG-Q日本語版は、PD患者におけるすくみ足の重症度を評価するための有効かつ信頼性の高いツールである。 #2. Neuroimaging Study:すくみ足の病態生理学的メカニズムとなるeffective connectivityを明らかにするために、すくみ足を有するPD患者のfMRIからデータ駆動型のアプローチで決定された関心領域(シード領域は中脳歩行誘発野)を用いて、スペクトル動的因果モデリングを行った。すくみ足あり患者に特有なeffective connectivity(左背外側前頭前野→左右中脳歩行誘発野)の増加ならびに独立したself-inhibitory connectivityが特定され(事後確率>99%)、すくみ足の重症度と有意に負相関した。さらに、effective connectivityのlateralisationと、初期のドーパミン作動性障害や脳領域の構造的変化には起因しないことも明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1つ目の日本語版NFOG-Qの妥当性および信頼性の検証は、特別研究員の課題遂行の前提となる主観的なすくみ足の評価尺度の開発を行うものであったが、順調に試験を終えて英雑誌に掲載された。2つ目のすくみ足のeffective connectivityの研究は、成果が得られ、英語論文を作成後、現在投稿中になる。
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今後の研究の推進方策 |
上記の内容から発展させるため、縦断解析、客観的なすくみ足の評価指標とすくみ足を有するパーキンソン病患者のeffective connectivityとの関連性を検証する。
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