研究課題/領域番号 |
23KJ1552
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
山口 亜斗夢 神戸大学, 保健学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2024年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2023年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 骨格筋Exosome / マクロファージ / 超音波 |
研究開始時の研究の概要 |
炎症反応は生体防御において必要な反応であるが、過剰な炎症は、臓器不全や修復治癒の遷延化などの悪影響をもたらすため、厳密に制御する必要がある。肺炎などの炎症性疾患の治療にはステロイド薬や抗生物質が用いられるが、強い副作用のため安全な補完療法が求められる。本研究は人体最大の分泌臓器である骨格筋に焦点をあて、骨格筋由来Exosomeが自然免疫細胞に与える影響とその機序を解明し、超音波刺激を含む物理刺激により骨格筋Exosome循環量を増加させることによる過剰炎症制御手段を開発しようとするものである。
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研究実績の概要 |
骨格筋分泌物が自然免疫細胞に対して抗炎症作用をもたらすことが示唆されているが、骨格筋由来因子の分泌担体となる骨格筋由来Exosomeが免疫細胞に与える効果については明らかになっていない。当該年度では、培養骨格筋線維とマウス骨髄由来マクロファージを用いて骨格筋由来Exosomeの抗炎症作用を解明するとともに、超音波照射による骨格筋Exosomeの放出増加がその効果に与える影響を調査した。 その結果、培養骨格筋線維由来Exosomeがマクロファージ内のImmune responsive gene 1の増加を介してイタコン酸産生を増加させ、マクロファージの過剰炎症反応を抑制することを明らかにした。また、超音波の照射によって培養骨格筋線維のExosome放出量が増加し、それに伴って骨格筋由来Exosomeの抗炎症効果が増大することが明らかとなった。また、骨格筋Exosome内miRNA解析を行い、マクロファージに対して抗炎症作用を有するmiR-206、miR-378aが多く含まれることがわかった。培養筋線維への超音波照射は骨格筋細胞由来Exosomeに含まれるmiRNAに大きな変化を与えず、その放出量を増加させることがわかり、Exosome放出量の増加によって抗炎症効果が増強されることが示唆された。骨格筋由来Exosomeを添加されたマクロファージにおいてはPI3K-Akt経路が活性化しており、筋Exosomeは当経路を介して抗炎症作用を発揮する可能性が示された。 今後は、動物モデルを用いた実験により下肢骨格筋への超音波照射による血中Exosome濃度の変化と全身性炎症に対する効果を明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
骨格筋Exosomeがマクロファージに対して抗炎症作用を有することを明らかにし、また骨格筋細胞に対する超音波刺激によって本効果が増強されることが明らかとなった。これらの成果をまとめた論文がすでに投稿・受理されており、次年度より動物実験に着手し本計画を完遂できることが予測されるため、概ね順調に計画が進行していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の方針として、細胞実験にて得られた結果を動物レベルにて検証する。マウス下肢骨格筋に対する超音波照射が血中Exosome濃度に与える影響を明らかにし、さらにそれによる全身性炎症改善効果を検証する。
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