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WOXファミリー転写因子の機能転換に注目した植物幹細胞制御の進化過程の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23KJ1579
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分基金
応募区分国内
審査区分 小区分44030:植物分子および生理科学関連
研究機関奈良先端科学技術大学院大学

研究代表者

ドル 有生  奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 特別研究員(PD)

研究期間 (年度) 2023-04-25 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2025年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
キーワード幹細胞 / 再生 / WOX転写因子 / 進化
研究開始時の研究の概要

陸上植物の頂端幹細胞には、コケ植物では単一細胞からなるのに対し、被子植物では複雑な層状構造をなすといった多様性が見られる。こうした頂端幹細胞構造の進化過程を解明する上で注目されてきたのがWOXファミリーの転写因子群である。その中でもWOX13クレードの転写因子は特殊な機能を持たない祖先的な転写因子と見なされ、その役割は軽視されていた。しかし最近、WOX13が陸上植物進化の過程で劇的な機能転換を遂げたことが分かってきた。そこで本研究ではWOX13の役割の変遷を手がかりに陸上植物における幹細胞制御の進化史を理解することを目的とし、WOX13の機能進化過程、およびその下流因子の解析を行なう。

研究実績の概要

陸上植物の頂端幹細胞には、コケ植物では単一細胞からなるのに対し、被子植物では複雑な層状構造をなすといった多様性が見られる。幹細胞の動態を制御する重要な因子の一つがWOX転写因子群である。本研究では、最近明らかとなった、コケ植物と被子植物の間でのWOX転写因子の劇的な機能変遷に注目して、陸上植物における幹細胞制御の進化過程を解き明かすことを目標としている。より具体的にはシロイヌナズナの器官再生系を用いて、(A)WOX13タンパク質機能の進化過程、および(B)細胞壁関連酵素をはじめとしたWOX13下流因子が幹細胞制御に果たす機能、を解析する計画である。
(A)タンパク質機能の進化過程について、本年度はWOX13のドメイン解析を進めた。これまでに、変異体相補実験によって作出した形質転換体の表現型解析から、シロイヌナズナにおけるWOX13機能に重要とみられるドメインを見出した。また本年度は共同研究によってコケ植物、シダ植物、小葉植物のWOX13オーソログをシロイヌナズナwox13変異体に導入する実験も進め、そのうちいくつかについては形質転換植物の予備的な表現型観察を完了した。
(B)WOX13下流因子の解析について、本年度は下流因子の幹細胞制御における機能を評価するための基盤整備として、シロイヌナズナの二段階培養系における継時イメージング系の確立を試みた。その結果、再生しつつある分裂組織やその周囲の組織の動態を各種タンパク質の発現動態とともに細胞レベルで追跡することに成功した。この成果は国際学会を含む各学会で発表したほか、観察系確立の過程で得られたデータの一部は共著論文として発表した(Ogura et al. 2023. Sci. Adv.)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

(A)タンパク質機能の進化過程については、シロイヌナズナのWOX13のドメイン解析、および陸上植物の各系統におけるWOX13の機能解析という当初予定していた実験が順調に進んだ。(B)WOX13下流因子の解析についても、次年度以降の解析の前提となる継時イメージング系の確立に成功した。これに並行して下流因子候補の変異体の表現型解析もすすめており、次年度には本年度確立したイメージング系を用いた詳細な解析に移れる見込みである。総じて、おおむね計画通りに順調に研究が進行していると判断した。

今後の研究の推進方策

(A)本年度見出したWOX13機能に重要とみられる各ドメインの果たす機能を詳しく調べるため、次年度以降はタンパク質局在解析や形質転換植物の詳細な表現型解析を進める予定である。また、陸上植物各系統のWOX13オーソログをシロイヌナズナwox13変異体に導入する実験についても、形質転換系統の作出とその表現型の解析を進める。in silicoでの配列解析等も併せて、各系統におけるWOX13タンパク質機能の差異とその原因を検討する予定である。
(B)本年度確立した継時観察系を用いて、引き続き詳しい下流因子の機能解析を行なう計画である。具体的には、細胞壁関連酵素をはじめとする幹細胞制御の進化に重要と考えられるWOX13下流因子について、再生中の発現動態の観察や、その発現を操作したときの幹細胞制御への影響の評価を行なう予定である。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] WUSCHEL-RELATED HOMEOBOX 13 suppresses de novo shoot regeneration via cell fate control of pluripotent callus2023

    • 著者名/発表者名
      Ogura Nao、Sasagawa Yohei、Ito Tasuku、Tameshige Toshiaki、Kawai Satomi、Sano Masaki、Doll Yuki、Iwase Akira、Kawamura Ayako、Suzuki Takamasa、Nikaido Itoshi、Sugimoto Keiko、Ikeuchi Momoko
    • 雑誌名

      Science Advances

      巻: 9 号: 27

    • DOI

      10.1126/sciadv.adg6983

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] シュート再生過程においてWOX転写因子が制御する細胞動態の解析2024

    • 著者名/発表者名
      ドル 有生、池内 桃子
    • 学会等名
      第65回日本植物生理学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Dynamic Regulation of Cell Fate Specification by WOX Transcription Factors During Shoot Regeneration2023

    • 著者名/発表者名
      Yuki Doll、Nao Ogura、Momoko Ikeuchi
    • 学会等名
      Taiwan-Japan Plant Biology 2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会

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公開日: 2023-04-26   更新日: 2024-12-25  

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