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宿主感染に重要な細菌鉄取込み系のシグナル伝達機構の解明~次世代抗菌薬創出に向けて

研究課題

研究課題/領域番号 23KJ1581
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分基金
応募区分国内
審査区分 小区分38020:応用微生物学関連
研究機関奈良先端科学技術大学院大学

研究代表者

横山 達彦  奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 特別研究員(PD)

研究期間 (年度) 2023-04-25 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
キーワード鉄取り込み系 / 大腸菌 / anti-sigma factor / iron uptake
研究開始時の研究の概要

鉄は必須元素だが、環境中には微量しか存在しないため、細菌は鉄を細胞内に取込む系(鉄獲得系)を高度に進化させてきた。鉄獲得系の構成因子の発現は、細菌が細胞外の鉄を感知することで誘導される。そのためには、細胞外に鉄が存在するというシグナルが細胞内に伝達される必要があるが、その分子機構には不明な点が多く残されている。本研究では、グラム陰性細菌に保存された、病原性因子でもある鉄獲得系Fecシステムの解析を通して、このシグナル伝達機構の解明を目指す。

研究実績の概要

鉄は細菌が生存する上で必須の元素であるが、環境中で細菌が利用できる鉄は微量しか存在しないため、細菌は外界の鉄を細胞内に取込むシステム(鉄獲得系)を高度に進化させてきた。鉄獲得系を構成する遺伝子の中には、細菌が細胞外の鉄を認識することで発現が誘導されるものも多い。しかしながら、細菌が細胞外の鉄の存在を如何にして認識し、如何にしてそのシグナルを細胞内へと伝達しているかというメカニズムの詳細は明らかになっていない。
研究代表者らは、グラム陰性細菌に広く保存され、病原性因子でもある鉄獲得系Fecシステムにおいて、鉄シグナルの伝達を担っている一回膜貫通タンパク質FecRを対象として、そのシグナル伝達機構の解明を目指してきた。これまでに研究代表者らは、(1)FecRが鉄シグナルに応答して3段階もの連続的な切断を受けること、(2)さらにその結果生じた切断断片が、細胞質に存在するシグマ因子を活性化することで、鉄獲得系の遺伝子の発現が誘導されることを報告した(Yokoyama et al., 2021, J. Biol. Chem.)。本計画ではこの研究を更に進展させ、FecRが受ける多段階切断が活性化されるメカニズムの解明を目指している。本年度はまず、FecRタンパク質の検出・解析系をブラッシュアップし、変異解析を行うことで、この切断カスケードの活性化に重要なFecR内の領域を明らかにした。さらに、FecRの膜挿入状態をモニターできる実験系を新たに立ち上げ、FecRの膜挿入と多段階切断との関係を解析し、切断カスケードの活性化機構がFecRタンパク質の膜透過と密接に連携していることを突き止めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

受け入れ研究室である奈良先端科学技術大学院大学・塚崎教授の研究室に本年度から参加した。本年度は申請計画に沿って、大腸菌が有する鉄獲得系の転写制御を担う一回膜タンパク質FecRの機能解析を進め、FecRが鉄シグナルを伝達する機構の解明を目指した。まず、研究室異動に伴って、前研究室で使用していた大腸菌の培養系とタンパク質の解析系等を受け入れ研究室に導入・改良し、研究を実施するための土台を整えた。続いて、新たにFecRタンパク質の膜挿入状態を解析できる実験系を立ち上げ、FecRの膜挿入と連続的切断の制御機構を解析した。また、論文の執筆に向けて、これまでに得ている実験結果のブラッシュアップも進めた。本年度は、これらの結果を含め、これまでに得られた成果を、国内学会で発表した。さらに本年度は、前年度から継続していた関連する研究をまとめて、米国微生物学会(ASM)の学会誌mBioに報告し、その成果も国内学会で発表した。以上のように、申請課題が計画通りにプログレスしていることから、現在までの進捗状況は「おおむね順調に進展している」と判断した。

今後の研究の推進方策

次年度も申請計画に沿って、FecRが受ける切断カスケードの制御機構の解析を更に進め、成果をまとめて論文として報告する計画である。また申請計画に則り、FecRタンパク質と、FecRの切断カスケードの制御に重要な役割を果たしていると予想される因子との相互作用解析も進める計画である。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] S2P intramembrane protease RseP degrades small membrane proteins and suppresses the cytotoxicity of intrinsic toxin HokB2023

    • 著者名/発表者名
      Yokoyama Tatsuhiko、Yamagata Yutaro、Honna Saisei、Mizuno Shinya、Katagiri Shizuka、Oi Rika、Nogi Terukazu、Hizukuri Yohei、Akiyama Yoshinori
    • 雑誌名

      mBio

      巻: 14

    • DOI

      10.1128/mbio.01086-23

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] グラム陰性細菌において、鉄シグナル伝達を担う一回膜貫通タンパク質FecRの膜挿入・連続的切断機構の解析2023

    • 著者名/発表者名
      横山達彦, 塚崎智也, 秋山芳展
    • 学会等名
      第96回日本生化学会大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 大腸菌膜内切断プロテアーゼRsePはSmall Membrane Proteinを切断し、その機能を制御しうる2023

    • 著者名/発表者名
      横山達彦, 山形優太朗, 本名彩正, 水野慎也, 片桐静夏, 大井里香, 禾晃和, 檜作洋平, 秋山芳展
    • 学会等名
      第19回 21世紀大腸菌研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Structure-based gating model for substrate accommodation and intramembrane proteolysis of E. coli site 2-protease (S2P), RseP2023

    • 著者名/発表者名
      Yohei Hizukuri, Yuki Imaizumi, Kazunori Takanuki, Takuya Miyake, Tatsuya Kobayashi, Tatsuhiko Yokoyama, Rika Oi, Terukazu Nogi, Yoshinori Akiyama
    • 学会等名
      IPS2023, 12th General Meeting of the International Proteolysis Society (Singapore)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会

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公開日: 2023-04-26   更新日: 2024-12-25  

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