研究課題/領域番号 |
23KJ1604
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分18040:機械要素およびトライボロジー関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
TIAN WEIHANG 岡山大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2024年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2023年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | ソフトアクチュエータ / McKibben型人工筋肉 / スマート人工筋肉 / 機能性繊維 / 変位センシング |
研究開始時の研究の概要 |
マッキベン型人工筋肉は1950年代に開発されたアクチュエータであり,空気圧印加により収縮変位が発生する.本研究は,伝統的な組紐製造技術を駆使することで,細径マッキベン型人工筋肉の集積プロセスを確立し,一般的なマッキベン型人工筋肉の2倍程度の収縮性能を有する「能動紐」を実現する.また,能動紐へのセンサ複合を実現し,その収縮変位の自己センシング機能を有する「スマート能動紐」を開発する.さらに,機械学習を活用し,印加圧力の指令値とセンサ値からスマート能動紐の収縮率推定を行う.本アクチュエータは高性能・高機能かつ再現性よく大量生産が可能になるため,ソフトアクチュエータの普及を牽引できると考えている.
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研究実績の概要 |
McKibben型人工筋肉は代表なソフトアクチュエータである.本研究では,組紐製造技術を駆使することで,細径なMcKibben型人工筋肉の集積とセンサ複合を実現し,人工筋肉の収縮性能の向上を実現するとともに,その収縮変位の自己センシング機能を有する高性能・高機能人工筋肉を開発する.当該年度においては下記の項目を実施した. 変位センシング機能を有するMcKibben型人工筋肉の開発と制御:人工筋肉の構成要素であるスリーブ繊維の一部を光ファイバに置換することで,光ファイバ内に伝達する光の量の変化から変位が推定可能なスマート人工筋肉を開発した.人工筋肉の変位とセンサ値は線形的な関係を持ち,センサ値から変位を推定することが可能であることが確認された.また,変位フィードバック制御実験により,負荷条件に関係なく,常に目標値に追従することが可能であることが確認された. 変位センシング機能を有する細径なMcKibben型人工筋肉の実現:光ファイバ型スマート人工筋肉と同じ要領で,細径なMcKibben型人工筋肉の構成要素であるスリーブ繊維の一部をエナメル被膜銅線に置換したスマート細径人工筋肉が試作された.銅線はコイルとなり,人工筋肉を収縮に伴い,コイルのインダクタンス値の変化から人工筋肉の全体の変位を推定する.人工筋肉の変位とセンサ値は線形的な関係を持ち,センサ値から変位を推定することが確認された.また,センサは人工筋肉にかかる負荷に依存しないことが分かった. 高収縮性能を有する人工筋肉の実現:細径人工筋肉を組紐状に集積した「能動紐」を試作した.組紐の幾何学の関係に基づいたモデル化検討の試作を通して,能動紐の最適な製作条件を確立した.能動紐の収縮率は約30%であり,単一のMcKibben型人工筋肉よりも約1.5倍の収縮率を有することが分かった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
今年度はMcKibben型人工筋肉の柔軟性を損なうことなく,かつ製作が簡単なセンサ付与手法の考案,それを用いた製作,および製作したセンサ付き人工筋肉の評価についての研究を行った.また,人工筋肉の収縮率・発生力を高めるため,複数本の細径なMcKibben型人工筋肉を組紐状に集積した「能動紐」の開発を行った. 当初の計画に加えて,独立駆動可能な2関節を有し,各関節の湾曲量が光ファイバセンサによってセンシング可能な2関節湾曲型スマート人工筋肉を開発した.また,組紐製造技術と水溶性繊維を活用することで,ねじれ動作を行う人工筋肉のシンプルな製作手法を確立した.ねじれ人工筋肉の動作に影響を及ぼすパラメータを把握するため,ねじれ人工筋肉をその構造と類似している繊維強化複合材料としてモデル化を行った.モデルから,人工筋肉に使用する素材,厚み,長さが一定な場合,ねじれ性能は繊維の傾きに左右されることを明らかにした.また,傾きの異なるねじれ人工筋肉を製作し,ねじれ性能を調査した.実験結果は導出したモデルと定量的,定性的な一致を得られた. 以上のことから,本研究は,当初の計画以上に進展していると判断している.
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画に従い,高収縮率を有する人工筋肉である能動紐にセンサ機能を持たせるため,能動紐の構成要素である細径人工筋肉の1本をセンサ機能を有するインダクタンス型スマート細径人工筋肉に置換した「スマート能動紐」を試作する.スマート細径人工筋肉はらせん状に集積されており,かつスマート能動紐が収縮する際,細径人工筋肉同士は互いに干渉する.そのため,スマート細径人工筋肉から取得されたセンサ値から直接に能動紐全体の収縮率を推定するため厳密な数理モデルの構築は極めて困難になる.したがって,スマート能動紐の変位推定には機械学習を活用する.学習したネットワークを用いて,スマート能動紐への印加圧力の指令値とスマート細径人工筋肉のセンサからスマート能動紐の収縮率推定を行う.
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