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サリドマイドの副作用である催奇形性を回避する標的タンパク質分解誘導剤の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23KJ1669
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分基金
応募区分国内
審査区分 小区分43020:構造生物化学関連
研究機関愛媛大学

研究代表者

降旗 大岳  愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 特別研究員(PD)

研究期間 (年度) 2023-04-25 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
キーワード標的タンパク質分解誘導剤 / 催奇形性 / ユビキチン-プロテアソーム系 / サリドマイド / 薬剤開発 / 構造解析
研究開始時の研究の概要

サリドマイド骨格誘導体および標的タンパク質分解誘導剤の催奇形性を回避するサリドマイド骨格を基盤とする薬剤の開発をする。
クライオ電子顕微鏡を用いた薬剤を含んだ、サリドマイド受容体セレブロンと催奇形性に関わる基質と3者複合体の構造解析から、E3リガーゼ上でのサリドマイド依存的な結合様式および基質のユビキチン化機構を推定する。サリドマイド骨格を基にしたサリドマイド依存的な結合およびユビキチン化を妨げる薬剤の設計を基に合成をし、細胞実験およびin vitoroでの評価を行って評価をする。
開発した薬剤を既存の標的タンパク質分解誘導剤(PROTACs)にも導入して催奇形性を抑制できるかも検討する。

研究実績の概要

サリドマイド型標的たんぱく質分解誘導剤の薬理作用を利用して副作用を回避させる薬剤開発を実施している. サリドマイドの生体内の受容体であるセレブロン(CRBN)はE3リガーゼの構成要素でDDB1と複合体を形成して機能している. CRBN単独での生細胞を用いた過剰発現は困難であるため, 変異およびDDB1との結合領域を削除させて, 大腸菌での発現を可能にしたデザイン(CRBNmidi)を使用した. サリドマイド類似体で臨床への試行が進んでいるMezigdomideを介したCRBNmidiおよび免疫調節作用に関わるIKZF1のZFドメインとの結晶構造解析を実施し, Mezigdomideの位置を高分解の回折データで決定した. MezigdomideはCRBNmidiとは他のサリドマイド類似体と同様の結合様式をしており, サリドマイド結合領域から露出してCRBNmidiの表面上に位置していた. Mezigdomide周辺の水分子の配置はこれまでに報告されているサリドマイドを介したCRBNとZFドメインの構造中の水分子と類似していた. CRBNは低分子化合物が結合することでループ構造が隆起して, サリドマイド結合領域の側面を覆い, 低分子化合物と衝突せずに位置している. ループ構造のHis残基が水分子と結合がMezigdomideを介した複合体の構造中でも確認され, Mezigdomideの特定の残基はこのHis残基を回避するように結合していた. Mezigdomideを介したIKZF1とCRBNとの相互作用がIKZF1への作用を強化しており, その仕組みを理解して新たな修飾基を検討する. 更に, CRBNmidiを用いたサリドマイド型標的たんぱく質分解誘導剤の効率的なスクリーニングの展開が期待される.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

サリドマイドによる副作用に関わるSALL4およびPLZFへの作用を制御するサリドマイド類似体について報告し, これらの類似体を基礎とした誘導体による作用の評価が今後期待される. CRBNmidiを用いることで, 薬剤結合前後のCRBN全長の動態を含んで評価することが可能になり, CRBNmidiを用いた構造解析からの知見も含めて, 薬剤依存的なCRBNによる基質の結合誘導の仕組みおよび動態を推測することが可能になった. 薬剤の構造および修飾による個々の特異的な作用を同定するために, 複数の解析手法を利用して今後取り組んでいく必要がある.

今後の研究の推進方策

標的たんぱく質分解誘導剤を介した複合体を形成しているCRBNおよび基質がE3リガーゼ上でユビキチン化依存的なプロテアソームによる分解が起きる分子機構を利用して, 副作用の軽減を更に促進する化合物を検討して評価していく. CRBNの薬剤結合時の動態とE3リガーゼによるユビキチン化の分子機構から, 標的たんぱく質分解誘導剤依存的なユビキチン化と分解の強度の関連性の推定を行う. 近年ではサリドマイドと類似の骨格を模した新規な標的たんぱく質分解誘導剤も報告されており, それらの薬剤による評価も考慮しながら実施する.

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] Center for Targeted Protein Degradation/University of Dundee(英国)

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] Lenalidomide derivatives and proteolysis-targeting chimeras for controlling neosubstrate degradation2023

    • 著者名/発表者名
      Yamanaka Satoshi、Furihata Hirotake、Yanagihara Yuta、Taya Akihito、Nagasaka Takato、Usui Mai、Nagaoka Koya、Shoya Yuki、Nishino Kohei、Yoshida Shuhei、Kosako Hidetaka、Tanokura Masaru、Miyakawa Takuya、Imai Yuuki、Shibata Norio、Sawasaki Tatsuya
    • 雑誌名

      Nature Communications

      巻: 14 号: 1 ページ: 4683-4683

    • DOI

      10.1038/s41467-023-40385-9

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Thalidomide derivatives development to avoid the teratogenicity2023

    • 著者名/発表者名
      降旗 大岳, 山中 聡士, 本田 敏明, 柴田 哲男, 田之倉 優, 宮川 拓也, Alessio Ciulli, 澤崎 達也
    • 学会等名
      The 2023 Collaborative Computing Project for NMR conference
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [備考] Ceter for Targeted Protein Degradation Center

    • URL

      https://www.dundee.ac.uk/cetpd

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2023-04-26   更新日: 2024-12-25  

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