研究課題/領域番号 |
23KJ1683
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分40040:水圏生命科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
松井 信太郎 九州大学, 農学研究院, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 血液凝固 / factor XII / HGFA |
研究開始時の研究の概要 |
哺乳類の血液はプラスチック等によりプロテアーゼ前駆体のfactor XIIが自己活性化(分解)され、凝固が起こる。多くの真骨魚類はfactor XIIを持たないが、その血液はシリンジ内で急激に凝固する。このことは、真骨魚類がfactor XIIに依らない未知の血液凝固系を有することを意味する。 本研究では、まずプラスチックなどにより自己活性化するタンパク質を特定する。次に、その因子を精製、活性化させた後に、これをコイの血漿に加え、分解を受けるタンパク質を同定する。以後、この手順をフィブリノゲン分解酵素が見出されるまで繰り返す。これにより新奇血液凝固カスケードの全容が解明されるものと期待される。
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研究実績の概要 |
哺乳類の血液凝固はExtrinsic PathwayとContact Pathwayという2つの系により起こる。Contact Pathwayはプロテアーゼ前駆体のFactor XIIがRNAやコラーゲン、ポリリン酸などの陰性電荷を帯びた分子と結合し、自己活性化されることで開始される。硬骨魚類においては、factor XII遺伝子が存在しないにも関わらず、Contact Pathway様の活性が認められる。このことは硬骨魚類がContact Pathway 様の新奇血液凝固カスケードを有することを意味する。本研究ではその具体的なカスケードの決定を目指した。本年度は、血液凝固開始因子の同定を行った。すなわちFactor XIIに代わる因子として、そのホモログであるHepatocyte Growth Factor Activator (HGFA)と仮定し、その精製を試みた。 コイの血漿をHeparin-SepharoseおよびPOROS-HQ20で分画した後、ヒトHGFA分解プロテアーゼのトロンビンをそれぞれの画分に加え、トロンビン添加の有無でSDS-PAGEのバンドパターンに変化が生じるか調べた。その結果、複数のタンパク質の分解が認められた。 哺乳類細胞を用いた系(HEK293T系)を用いて、組み替え体コイHGFAの作製に取り組んだ。哺乳類細胞用のコイHGFAの配列を挿入した発現ベクターを調製した。その後、ポリエチレンイミン (PEI-MAX)を用いて、リポフェクションを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の実験で、コイ血漿中からHGFAの候補となるバンドを特定した。これらのタンパク質はすでに2ステップのクロマトグラフィに供したものであり、比較的純度も高く完全精製に近い状態にある。そのため、次年度即座にHGFAの機能試験を行うことが可能であり、今後の研究に大きく役立つ成果が得られたものと判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の実験で、トロンビンによって分解されることが認められたタンパク質をLC-TOF MS解析により同定する。その中からHGFAと一致するペプチド配列が得られた場合、そのタンパク質が得られた画分を用いてゲル濾過クロマトグラフィ等を行い、HGFAの完全精製を目指す。さらに、精製HGFAにコラーゲンなどの接触系開始因子を加え分解されるか、すなわち自己活性化能を示すかを試験する。
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