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スキルス胃癌の炎症性癌関連線維芽細胞を標的とした免疫抑制性微小環境のリモデリング

研究課題

研究課題/領域番号 23KJ1698
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分基金
応募区分国内
審査区分 小区分55020:消化器外科学関連
研究機関九州大学

研究代表者

堤 親範  九州大学, 医学系学府, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2023-04-25 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2024年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2023年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
キーワードスキルス胃癌 / 癌関連繊維芽細胞
研究開始時の研究の概要

スキルス胃癌は極めて予後不良な疾患である。スキルス胃癌に豊富な癌関連線維芽細胞(CAF)を有するが、これまでスキルス胃癌CAFのheterogeneityに着目し、炎症性CAFと免疫抑制細胞の相互作用を検討した報告は未だかつてない。
そこで本研究では、近年、直腸癌では炎症性CAFが治療抵抗に関与し、予後不良因子であると報告されている炎症性CAFと免疫抑制細胞との相互作用に着目し、炎症性CAFを標的とした、免疫抑制性微小環境をリモデリングできる新規治療法の開発を目指す。

研究実績の概要

スキルス胃癌の次世代プロテオミクス解析 (iMPAQT法)を行い、スキルス胃癌はスキルス胃癌以外の胃癌と比較してLDHAを含めた解糖系、TCA回路の代謝酵素の発現が有意に低く、スキルス胃癌ではスキルス胃癌以外の胃癌と比べて有意にCAFの細胞数が多かった。このことから、スキルス胃癌の腫瘍微小環境は代謝活性が低く、この一因として癌関連繊維芽細胞(CAF)が重要な役割を果している可能性を考え、スキルス胃癌のCAFに着目した。当科で胃切除術を施行したStageIIIのスキルス胃癌患者3例から胃癌組織を採取し、シングルセル遺伝子発現解析(scRNA-seq)を行った。対象群としてStageIIIのスキルス胃癌以外の胃癌患者11例の胃癌組織を用いた。遺伝子発現が異なる複数の細胞集団の中からCOL1A1の発現が高い細胞集団をCAFと判断し、抽出・再クラスタリングを行った。遺伝子発現が異なる8つのCAFの細胞集団を確認し、過去の報告に基づき3つの炎症性CAF集団、4つの筋繊維性CAF集団、1つの抗原提示CAF集団を同定した。3つのうち1つの炎症性CAF集団はスキルス胃癌症例でのみ認められ、スキルス胃癌特異的な炎症性CAFの細胞集団を明らかにすることができた。一方、胃癌免疫抑制性微小環境の形成に重要な役割を果す免疫抑制細胞を胃癌組織のシングルセル遺伝子発現解析と切除標本組織を用いて評価した。その結果、単球系骨髄由来抑制細胞 (M-MDSC)は他の免疫抑制細胞よりも免疫抑制機能関連遺伝子の発現が最も高く、M-MDSCが他の免疫抑制際細胞よりも最も強く予後不良と相関していた。以上から、M-MDSCが胃癌免疫抑制性微小環境の形成に重要であることが示唆され、この成果をGastric cancerに報告した [Tsutsumi C. Gastric Cancer. 2024;27(2):248-262]。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

スキルス胃癌患者のシングルセル遺伝子発現解析より、スキルス胃癌特異的な炎症性CAFの細胞集団を明らかにすることができた。また、単球系骨髄由来抑制細胞 (M-MDSC)が胃癌免疫抑制性微小環境の形成に重要であることが示唆され、この成果をGastric cancerに報告した。以上より、研究計画通りにおおむね進んでおり、(2)と判断した。

今後の研究の推進方策

今後、炎症性CAFとM-MDSCとの細胞間相互作用を評価し、同定した炎症性CAFの発動変動遺伝子の中から治療標的候補分子の検索を行う予定である。そして、治療候補分子が標的になりうるかをIn vitro、In vivoで実証予定である。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Tumor-infiltrating monocytic myeloid-derived suppressor cells contribute to the development of an immunosuppressive tumor microenvironment in gastric cancer2024

    • 著者名/発表者名
      Tsutsumi Chikanori、Ohuchida Kenoki、Katayama Naoki、Yamada Yutaka、Nakamura Shoichi、Okuda Sho、Otsubo Yoshiki、Iwamoto Chika、Torata Nobuhiro、Horioka Kohei、Shindo Koji、Mizuuchi Yusuke、Ikenaga Naoki、Nakata Kohei、Nagai Eishi、Morisaki Takashi、Oda Yoshinao、Nakamura Masafumi
    • 雑誌名

      Gastric Cancer

      巻: 27 号: 2 ページ: 248-262

    • DOI

      10.1007/s10120-023-01456-4

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] por2胃癌・食道胃接合部癌における癌関連線維芽細胞とCD8陽性T細胞の相互作用の解明2023

    • 著者名/発表者名
      堤 親範, 大内田 研宙, 片山 直樹, 大坪 慶志輝, 寅田 信博, 進藤 幸治, 森山 大樹, 水内 祐介, 仲田 興平, 中村 雅史
    • 学会等名
      日本消化器外科学会総会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2023-04-26   更新日: 2024-12-25  

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