研究課題/領域番号 |
23KJ1707
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分41040:農業環境工学および農業情報工学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中井 鴻美 九州大学, 生物資源環境科学府, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2024年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2023年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 転流 / 光合成産物 / イチゴ / 果実成長モデル |
研究開始時の研究の概要 |
高収益かつ安定的な作物生産の実現のためには,環境制御や栽培管理において生産者の意思決定を支援する動的な収量予測が必要である.本研究は,イチゴ群落を対象に,機能的-構造的プロセスモデルを局所的に用いた転流機構に基づくプロセスモデル(転流プロセスモデル)を統計的手法と組み合わせた新たな収量予測技術の開発を目的とする.これを達成することにより,生産者の意思決定に資する収量情報(収量構成情報である果実数,果実サイズ,糖度の変動・分布)の予測の実現を目指す.
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研究実績の概要 |
植物において,光合成の場であるソース(葉)からシンク(果実等)へと師管を介して光合成産物を輸送・分配する転流は,器官の成長や物質集積を支配し,作物の収量や収量を直接決定づける重要な生理的機能である.本研究は,環境制御や栽培管理における生産者の意思決定を支援するための動的な収量予測として,転流機構に基づいたプロセスモデルと統計的手法を統合した新たな果実成長・収量予測技術の開発を目的としている.研究は,イチゴを材料植物として,①群落ローディングモデルの構築,②果房アンローディングモデルの構築,③モデルの統合の3段階で実行する.今年度は②の達成に向けた以下の実験・解析を行なった. ②の果房アンローディングモデルは,転流プロセスに基づく果実成長モデルと果房構造モデルから構築される.転流は果房構造に依存するため,はじめに構造を単純化した果実成長モデルを構築し,その後,果房構造を考慮したモデルに拡張する必要がある.本研究ではイチゴを対象に,糖代謝に基づいて果実の成長に伴う糖濃度変化を予測するSUGAR modelを用い,果房構造を単純化した果実成長モデルを構築した.モデルパラメーターは,第一果房の一番果を開花後日数5日おきに採取し,測定した生体情報(新鮮重・乾物重・果実糖濃度)から同定した.構築したモデルにより推定した果実糖濃度は果実の成長初期から中期では実測値の動態を概ね良好に再現したが,成長後期は過小評価した.今後は,推定精度の向上のためにモデル構造を検討するとともに,果房構造を考慮したモデルへの拡張を目指す.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画のうち,①群落ローディングモデルの構築には至っていないものの,課題達成に資する成果をまとめて英文雑誌に原著論文として投稿・受理されている.また,②果房アンローディングモデルの構築に向けた実験・解析を行ない,学会においてその成果を発表しており,英文雑誌に原著論文として投稿予定である.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,今年度で構築した転流プロセスに基づく果実成長モデルの推定精度の向上を図るとともに,果房構造を考慮したモデルへと拡張し,果房アンローディングモデルを構築する.また,群落ローディングモデルの構築と併せて,群落スケールでの収量構成情報(果実数,果実サイズ ,糖度)の変動・分布の予測技術を確立する.
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