研究課題/領域番号 |
23KJ1737
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
下津浦 大賀 九州大学, 経済学府, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2025年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2024年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 国際海運 / CO2排出量 / コンテナ船輸送 / 要因分解分析 / CO2排出低減策 / 輸送ネットワーク |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、国際貿易で中心的な役割を果たす海運に着目し、海運の運航改善に焦点を当て、海運のネットワーク変化が環境負荷(今回ではCO2排出量)削減にどれほど貢献するかを明らかにする研究である。具体的には、詳細な世界の海運ネットワークデータを用いて、港(ネットワークにおける頂点)、海運ルート(ネットワークにおける辺)、コンテナ船運航会社・船舶(辺の重み(CO2排出量)を特徴付ける各要素)に関する包括的なネットワーク分析を行うことで、各運航会社のネットワーク全体における環境効率性を評価する。また、クラスタリング分析をネットワーク分析に組み込むことで、各運航会社が対策を優先すべきルート群を特定する。
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研究実績の概要 |
本研究は、国際貿易で中心的な役割を果たす海運に着目し、国際海運の運航改善に焦点を当て、海運のネットワーク変化がどれほどCO2排出削減に貢献するかを明らかにした。具体的には、主要な7つの国際海運会社のMaersk Line(Maersk)、Mediterranean Shipping Company(MSC)、COSCO SHIPPING Lines(COSCO)、CMA CGM(CMA)、Hapag-Lloyd(Hapag)、Ocean Network Express(ONE)、Evergreen Marine Corporation(EMC)に焦点を当て、2018年、2019年、2020年において相対的にCO2排出量が大きかった上位10航路を運航会社別に特定した。結果から、「シンガポールからスエズ運河」の航路が最もCO2排出集約的(2018年が124万トン-CO2、2020年が210万トン-CO2)であり、その排出量が増加傾向であることが明らかになった。加えて、本研究は国際コンテナ船輸送由来のCO2排出量の変化を輸送距離(Distance)、船の大きさ(Capacity)、輸送ネットワーク(Structure)、平均燃費(Intensity)の4要因に分解する分析手法を開発し、どの要因がCO2排出量の変化に影響しているかを会社ごとに明らかにした。本研究の結果は、コンテナ船輸送由来のCO2削減策として燃費改善や次世代船舶の運用が注目される中で、輸送ネットワーク改善によるCO2削減策の重要性を示しており、国際海運ネットワークに対するより効果的なCO2削減策(例えば、CO2排出集約的な航路に対する厳しい燃費規制や炭素税導入など)の重要性を示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の結果を基に、1件の国際学会での口頭発表に加え、3件の国内学会での口頭発表を行い、多様な専門家たちの意見を踏まえつつ、論文としてまとめ、9月29日にMarine Policy誌(2022 Impact Factor: 3.8)に公開されたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は国際海運のネットワーク分析から少し離れ、船舶の買い替えサイクルの変化(製造されてから廃棄されるまでの寿命変化)がCO2排出量に与える影響を分析する。研究計画の変更は行ったものの、これまでの研究結果を論文としてまとめており、現在、Journal of Environmental Management誌(2023 Impact Factor: 8.7)に投稿中である。加えて、現在、新たに寿命変化の環境影響だけでなく、経済への影響も含めた分析を行っており、本結果を国内学会、国際学会にて報告し、多様な専門家の意見をいただくことにより、研究をより深いところまで推進していく。
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