研究課題/領域番号 |
23KJ1742
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分34010:無機・錯体化学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
江原 巧 九州大学, 理学府, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2025年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2024年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2023年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 時間分解赤外分光 / エネルギー移動 / 分子性光触媒 / 光増感剤 / レーザー分光 / 量子化学計算 |
研究開始時の研究の概要 |
2段階のポンプ光と中赤外領域のプローブ光を用いた「Pre-pump pump probe 分光」のシステムを構築し、2電子還元状態の生成過程やそれに伴う電子状態や分子内電子・エネルギー移動過程などのダイナミクスを明らかにする。励起状態・多電子還元状態の立体構造や電子状態の分子論的なメカニズムなどの知見を元に、光増感剤多核錯体の更なる機能向上のための設計指針の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では時間分解赤外分光法(TR-IR)と量子化学計算を用いて、CO2還元光触媒システムの光増感剤として優れた機能を示すリング状多核Re(I)錯体の励起状態のエネルギー移動過程を明らかにし、得られた分子論的なメカニズムなどの知見を元に、光増感剤多核錯体の更なる機能向上のための設計指針の確立を目指す。 今年度は、ドナーとアクセプターの励起エネルギー差やエネルギー移動距離の影響を調べるために、置換基や架橋配位子を系統的に変えたヘテロリング状多核Re(I)錯体のTR-IR測定を行った。CO伸縮振動の1800~2100 cm-1におけるTR-IRスペクトルの時間変化に対してグローバル解析を行うことで、エネルギー移動速度定数を見積もった。そこで、励起エネルギー移動速度定数は架橋配位子の距離の違いに対して指数関数的に変化することを見出し、励起エネルギー移動が超交換相互作用によって進行することが示唆された。また、ドナーとアクセプターのエネルギーギャップが大きいヘテロリング状2核Re(I)錯体は、エネルギー移動が速いことが明らかになった。さらに、テロリング状4核Re(I)錯体では、著しく速いエネルギー移動が観測され、別のエネルギー移動経路の存在が示唆された.この結果の詳細については次年度中に論文として報告する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は時間分解赤外分光法(TR-IR)を用いて、リング状多核Re(I)錯体のドナーとアクセプターの励起エネルギー差やエネルギー移動距離の影響を調べ、エネルギー移動が超交換相互作用によって進行することが示唆された。この成果については、次年度中にまとめる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
指紋領域におけるTR-IR測定を行い、単核錯体とのTR-IRスペクトルや量子化学計算との比較から、励起状態の立体構造に調べエネルギー移動との関係についての議論を行う予定である。また、犠牲還元剤の添加とPre-pump光の照射により1電子還元種を生成させ、2電子目の電子、エネルギー移動の観測を行うための装置構築を行う。
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