研究課題/領域番号 |
23KJ1746
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分43010:分子生物学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
松田 花菜江 九州大学, 医学研究院, 特別研究員(RPD)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ダイレクトリプログラミング / バリア機構 / 神経細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
体細胞へと転写因子を強制発現させることにより、多能性肝細胞の状態を経ることなく意図した細胞へと分化誘導するダイレクトリプログラミング法は、臨床応用への期待度が高い一方、ヒト細胞の分化転換効率が低いことが問題となっている。これは直接分化転換を阻むヒト特異的バリア機構が存在する可能性を強く示唆しているが、その分子基盤は明らかにされていない。そこで本研究では、HUVECから肝細胞及び神経細胞への直接分化転換系を用いて、ヒト特異的バリアを形成する因子を同定、その作用機序を解明し、バリアを打破する方法を開発する。
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研究実績の概要 |
本研究では、ヒト細胞特異的バリア機構を形成する因子の同定、メカニズムの解明を行い、リプログラミングを阻むヒト特異的バリアの打破を目的とし実験を実施した。 本年度は、当初の計画通りHuman CRISPR knockout pooled libraryに加えてHuman CRISPR activation pooled libraryを用いて、リプログラミングバリアの探索を行った。 スクリーニングを潤滑に進めるため、iPS細胞にDOX依存的に発現誘導可能な転写因子をレンチウィルスにより遺伝子導入し、100%の効率でニューロンへと誘導可能なiPS細胞株を取得した。このiPS細胞株へとCRISPR knockoutまたはactivation libraryを導入し、DOXを投与してもニューロンへと分化転換できない細胞のみを回収し、次世代解析を行う計画を立てた。計画通り、ほとんどの細胞がニューロンへと誘導できる中、ニューロンへと分化転換できない細胞群が得られた。これらの細胞からゲノムDNAを抽出し、ライブラリーを作成、次世代解析に供した。 次世代解析により得られた結果を、既報のFANTOM5等のデータと比較し(iPS細胞と各種ヒト体細胞におけるDEGを取得)、共通する因子を候補因子群とした。また、その中でも、リプログラミングの際に細胞運命を変える強い力を有する”パイオニアファクター”の働きをも阻害し得るエピジェネティック関連因子が候補因子である可能性が高いと考え、その中からさらに候補因子を絞りこんだ。決定した候補因子に対してレンチウィルスを用いた発現操作(過剰発現または発現減弱)を行い、バリア因子の決定を現在行なっているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
100%の効率でニューロンへと誘導できるiPS細胞株を独自に取得し、この細胞株を用いてCRISPR library screeningを実施し、ニューロン分化へのバリア形成またはバリア打破因子の探索に計画通り着手することができた。当初の計画では、KO libraryのみを使用する予定であったが、activate libraryの系も併用する系を立ち上げることができた。
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今後の研究の推進方策 |
自身の次世代解析に供したサンプルデータの解析結果とFANTOM5等公共データを用いて、バリア候補遺伝子を絞り込む。さらに、リプログラミングの際に細胞運命を変える強い力を有する”パイオニアファクター”の働きをも阻害し得るエピジェネティック関連因子が候補因子である可能性が高いと考えており、絞り込んだ遺伝子群の中からさらにエピジェネティク関連因子に着目してバリア候補因子を決定する。決定した因子に対して発現操作を行い、候補因子がバリアを形成し得るのかどうか確認を行う。 確認後、同定したバリア因子がどのようにしてニューロンへのリプログラミングを阻害しているのかどうかについてのメカニズム解析に進む。
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