研究課題/領域番号 |
23KJ1749
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分44030:植物分子および生理科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
山本 禎子 九州大学, 農学研究院, 特別研究員(RPD)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 葉緑体光定位運動 / 炭酸ガス |
研究開始時の研究の概要 |
固着生活を営む植物は、様々な光応答を誘導することにより、光合成を最適化している。光応答機構の一つに葉緑体定位運動がある。従来、葉緑体光定位運動は、植物特有の光受容体であるフォトトロピンが光の強弱を感知することにより制御されると考えられてきた。その一方で、私たちは、葉緑体光定位運動において、光情報よりもCO2濃度の方が優先されるという新しい知見を得た。そこで本研究では、現在不明のままであるCO2濃度依存的な光情報伝達の制御に関して、分子レベルでの解明することを目的とする。生化学部的手法および分子遺伝学的手法を駆使して、CO2濃度による葉緑体定位運動の制御メカニズムの全貌解明を目指す。
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研究実績の概要 |
植物は、変動する光環境に適応しつつ、効率的に光合成を行うために、葉緑体の細胞内局在を変化させる(葉緑体光定位運動)。葉緑体は弱光の下で光に集まり(集合反応)、強光の下では光を避けるように細胞の縁に移動する(逃避反応)。モデル植物を用いた解析に葉緑体光定位運動は光受容体であるフォトトロピンの自己リン酸化に始まるリン酸化カスケードにより引き起こされることが分かっている。一方で、受入れ研究機関において、120種を超える植物種の解析がなされたところ、葉緑体光定位運動にはCO2が必要であることが示唆された。シロイヌナズナを用いた実験においても、低CO2条件においては集合反応が抑制されることが示された。つまり、CO2による制限がフォトトロピンにより誘導される反応よりも優先されることを見いだした。さらに、フォトトロピンを用いた免疫沈降物のプロテオーム解析により、炭酸ガスの関与が考えられる因子を同定した。これら因子について、単独変異体を単離し、さらには多重変異体を作成した。それら変異体を解析したところ、多重変異体ではより強く葉緑体光定位運動が抑制されていることが分かった。これらの結果は、CO2シグナルと光シグナルは相互に関与しつつも従属的なものではないとされてきた従来の知見とは一線を画すものであり、光シグナルがCO2シグナルの制御下にあることを示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CO2シグナルと光シグナルをつなぐ因子を同定し、それらの変異体を解析した。光シグナルがCO2シグナルの制御下にあるという知見と一致する結果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
同定した因子にはスプライシングバリアントが存在する。ロングリードRNA seqにより、どのバリアントが当該制御に関与しているか明らかにする。また、各スプライシングバリアントにGFPを融合したコンストラクションを導入した形質転換体の観察により、局在や相補の有無を確認したい。
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