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濃度マランゴニ効果を仮定したサイトカイン濃度勾配下での白血球の水中推進機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23KJ1753
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分基金
応募区分国内
審査区分 小区分19010:流体工学関連
研究機関九州工業大学

研究代表者

尾花 倫太郎  九州工業大学, 大学院生命体工学研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2023-04-25 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2024年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2023年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
キーワード好中球 / サイトカイン / 濃度勾配 / 走化性
研究開始時の研究の概要

白血球は,人体内での免疫細胞としての役割を担っており,細菌や炎症部へ向かって移動する走化性という機能を持っている.走化性について,白血球が炎症部より生成される走化性因子のサイトカイン濃度勾配を検知し移動すると知られているが,濃度勾配と推進機構の定量的関係は未解明である.一般的に水中の濃度勾配による微粒子の運動は“濃度マランゴニ効果” によって推進力を得ると考えられているが,白血球の走化性も同じ機構かどうかは不明である.そこで,本研究では大きさが数マイクロメートルである白血球を微粒子と捉え,濃度マランゴニ効果によって推進力を得ると仮定して実験ならびに数値解析により推進機構の解明を試みる.

研究実績の概要

1. マイクロ流路を用いた一定サイトカイン濃度勾配下の白血球の移動の観察と膜上を含む濃度分布の計測
定常的なサイトカイン濃度勾配を白血球に作用させ,移動の様子と膜上を含む濃度分布の計測を目的として,マイクロ流路を用いた実験系の設計を行った.その結果,流路を用いない場合は勾配が過渡的にしか変化しなかったが,流路を用いた場合は濃度勾配の形成後一定の値が保たれ,溶液中の濃度勾配を一定に保つための実験系を設計することができた.
2. 白血球面上のカルシウムイオン計測
白血球内カルシウム濃度分布の流動を測定し,膜上のサイトカイン濃度勾配の周期的変化との関係の解明を目的として,キセノン光源による白血球内カルシウムイオン計測実験を行った.その結果,膜上のカルシウムイオンの濃度勾配はサイトカインと同様に周期的に変化していることが示された.この結果から白血球の細胞膜上でカルシウムイオンとサイトカインの移動は連動している可能性が示された.
3. 半回転運動を考慮した白血球の周囲流れを含む濃度輸送の数値解析
サイトカインの流動を数値解析によって予測することを目的として,白血球を円柱モデルとした流体解析を行った.数値解析の結果,白血球の回転によって膜上のサイトカイン濃度分布が周期的に変化することや膜上のサイトカイン濃度勾配は白血球の半回転運動と吸脱着機能に影響されることが示された.また,膜上サイトカイン濃度勾配が周期的に変化することが示された.この2点は実験結果と一致した.これらの結果から白血球は半回転運動によって周囲の流動を制御し患部への駆動を行っている可能性が示された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

昨年は計画2の白血球面上のカルシウムイオン計測において,当初の目的としていた白血球内カルシウム濃度分布の流動の測定を達成でき,2024年度に予定していたサイトカインとカルシウムイオンの同時計測のための実験系の設計を2023度の終盤から進めることができているため.また,計画1のマイクロ流路を用いた実験や計画3の白血球の半回転運動を考慮した周囲流れを含む濃度輸送の数値解析も当初の目的を達成できている.

今後の研究の推進方策

推進時の白血球膜上のサイトカインと細胞内の受容体との反応の様子と白血球内のカルシウムイオンによるシグナル伝達の様子から推進力の発生メカニズムの解明を試みる.同時に,白血球が血管壁面付近で偽足を発生させる際のカルシウムイオン濃度の変化を測定し,偽足の発生メカニズムについても検討する.また,蛍光の変化をより精密に撮影するために高倍率の対物レンズを導入する.さらに,原子間力顕微鏡を用いて白血球の推進力の測定を行い,計測実験の結果から推定された推進力との比較を行い,サイトカイン濃度勾配に加わる要素の駆動力への影響を調べる.

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Experimental and Theoretical Study of Propulsion Mechanism with Neutrophil Rotation by using Concentration Marangoni Effect2023

    • 著者名/発表者名
      Obana Rintaro、Masaaki Tamagawa
    • 雑誌名

      Journal of Advanced Research in Fluid Mechanics and Thermal Sciences

      巻: 108 号: 1 ページ: 114-125

    • DOI

      10.37934/arfmts.108.1.114125

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] マイクロ流路を利用した一様なサイトカイン濃度勾配下での好中球の運動観察2023

    • 著者名/発表者名
      尾花倫太郎,玉川雅章
    • 学会等名
      日本機械学会2023年度年次大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 免疫治療を目指した好中球水中推進機構解明における好中球面上のカルシウムイオン濃度測定2023

    • 著者名/発表者名
      尾花倫太郎,玉川雅章
    • 学会等名
      第36回バイオメディカル・ファジィ・システム学会年次大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Evaluation of Neutrophil’s Rotation on Transport Process of Membrane Concentration and its Underwater Propulsion by CFD Analysis2023

    • 著者名/発表者名
      Rintaro Obana, Masaaki Tamagawa
    • 学会等名
      7th International Conference on Computational Methods in Engineering & Health Sciences
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会

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公開日: 2023-04-26   更新日: 2024-12-25  

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