研究課題/領域番号 |
23KJ1758
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
下山 花 長崎大学, 多文化社会学部, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | エチオピア / ガーナ / 食文化の変化 / 変容と不変 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、アフリカ農村部(ガーナとエチオピア)を対象に、外来作物の導入に際して、農業と食文化のどのような要素が変化し、受容を促す(適応性)と同時に、在来性を維持するのか(不変性)を明らかにすることである。参与観察と聞き取り調査を組み合わせた農村調査をおこない、地域間比較を通して、多種類の作物を主食とする農耕と食文化の成り立ちに関する統合的な地域史を構築することを目指している。
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研究実績の概要 |
4月から6月は、初めてのガーナでの調査にむけて、カウンターパートと研究の打ち合わせをおこない、研究の目的や手法のブラッシュアップをおこなった。 7月から8月にかけてエチオピアに渡航し、農業と食生活の変化について現地調査を実施した。50・60代の6名に対して、ここ50年間に生じた農業と食生活の変化について半構造化インタビューをおこない、調査の的を絞り、インタビューガイドを作成した。9月はガーナに渡航し、カウンターパートの協力のもと、調査地を決定した。調査期間中は、ヤムの収穫時期にあたり、収穫方法や品種名、形態の違い、好まれる品種特性、種芋づくりの方法を記録した。村出身の60代男性、3名に対して、キャッサバ栽培の拡大時期や当時の様子について半構造化インタビューを実施した。 10月から11月は、現地調査で得られた資料を整理し、分析した。その内容を研究室のゼミナールで発表し、今後の調査にむけたアドバイスをいただいた。 12月から2月にかけてエチオピアに再度渡航し、農業と食生活の変化について追加調査をおこなった。前回の調査で対象とした50・60代の6名に、6名を加えた計12名に対して、ここ50年間の栽培植物と消費作物の変化、調理に用いる食材の選択における変化について詳細に聞き取り調査をおこなった。彼らの畑に行き、畑区画ごとに作付け作物の記録とGPSを用いた面積の測定をおこない、8世帯で有効な資料を得た。3年生から12年生の子をもつ33世帯を対象に、食事日記を用いた1週間以上の食事記録をおこなった(29世帯で有効な資料を得た)。村の歴史に詳しい人物や農業普及員に話を聞き、ライコムギ導入以前の農作業や栽培植物について情報を収集した。 3月は、調査で得られたデータをまとめ、生態人類学会でポスター発表をおこなった。有志でおこなっているアフリカ食文化研究会に参加し、ガーナでおこなった調査の報告をした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
エチオピアに計5か月、ガーナに1か月渡航し、予定通りに調査をおこなうことができた。エチオピアの渡航中は、計画していたインタビュー調査を50・60代に対しておこない、結局12名までインフォーマントの数を増やすことができた。また、語学の習得に伴い、エンセーテ由来の食材(発酵させた澱粉)に対して、人びとがどのような感情を持っているのかという点を、日常のやりとりのなかや、何気ない会話の中から語りを収集することができた。 ガーナでの予備的調査では、年配者にインタビューをおこなった結果、1980年代に生じた干ばつをきっかけにキャッサバ栽培が拡大したことがわかり、これまで報告されてきた文献の内容と、人々の認識が一致していることがわかった。今後の調査をすすめるうえで、キャッサバ栽培の変化の状況を確認することができたことは、大きな進展になった。 計画どおりに研究活動をおこなえたため、おおむね順調に進展しているとした。
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今後の研究の推進方策 |
次年度はガーナに2度渡航をする予定である。 1度目は6~7月に渡航をする。6~7月は在来作物のギニアヤムの端境期にあたる。その時期には、近年栽培面積の広がっているキャッサバを利用している可能性がたかい。本年度ガーナでおこなった予備調査期間は、ギニアヤムの収穫期にあたり、キャッサバの利用方法を調査することが難しかった。そのため、ギニアヤムの端境期に渡航することで、キャッサバの利用方法を調査し、在来作物のギニアヤムの調理方法や提供される場面の違いや共通点を検討したいと考えている。 2度目の渡航は、12月~2月を考えている。この時期は、アジア原産のウォーターヤムと、外来作物のキャッサバの収穫がおこなわれる。キャッサバは収穫後にすぐに加工する必要があり、加工作業も記録する予定である。キャッサバとギニアヤムの生産面での類似点と共通点を検討する予定である。
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