研究課題/領域番号 |
23KJ1806
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
若林 千夏 東京都立大学, 人文科学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2025年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2024年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2023年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
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キーワード | 中途参入 / 専門職 / 相談支援 / ライフコース / ジェンダー / 再就職 / 中高年女性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、社会福祉士・精神保健福祉士などの相談支援専門職に「中途参入」(学生時代の専攻や初期キャリアとは無関係の資格取得)をした中年期の女性を対象にインタビュー調査を行い、その結果を多角的に分析する。 「女性が働くこと」を過去・現在・未来を含めた視点で、これまで育った環境、受けた教育、経験した職場、その後の生活(家庭・個人)など、周囲の環境を含めたライフコースの総体からとらえ、女性がライフステージを変えながら働き続けようとする、女性労働の現実を示す。そして、女性の就業継続支援施策に示唆を与える。
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研究実績の概要 |
本研究は、女性のライフコースの途上で起こるキャリアの変更について、学生時代の専攻や初期のキャリアとは無関係である、相談支援分野の専門職に「中途参入」する現象から分析し、女性労働の一断面を描くことを目的とする。 女性が「働くことに接続し続ける」様相を個々のライフイベントや、周囲の環境を含めたライフコースの総体からとらえる。それによって、女性がライフステージを変えながら働き続けていくことの意味を問い直す。そして、女性の主体的な進路・就業選択の重要性を示すとともに、政治・経済分野に対して、長期的視点をもった女性への就業支援策を促すことも目的に含む。 上記の目的に向かい、首都圏に勤務する相談支援専門職の女性を対象に、継続的なインタビュー調査をおこなう。主な対象者は、30代以上で社会福祉士・精神保健福祉士の国家資格を取得した大卒女性で、一部に公認心理師・キャリアコンサルタントの心理系の資格取得者を含む。 インタビューは、異分野から相談支援専門職を目指す契機となった、それまでのライフコースの語りに重点を置き、次に職場や家庭、そしてクライエントとの関係に表れる可能性があるジェンダーの様相、また中途参入して再就職や転職をおこなった女性の就業状況など、多岐に及ぶため、協力者には数回のインタビューを重ねていく予定である。 初年度は、インタビューそのものの進展は鈍かったが、中途参入者の多いいくつかの団体にかかわるなど、調査の下地作りに成果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、インタビュー調査の準備段階に時間を割いた。令和5年度は、令和6年4月施行の「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」施行を前に、多くの女性支援団体が講座や勉強会を開催した。女性支援事業は既存の社会福祉事業と異なる性格を持つ。相談員・支援者の多くが、異分野から「中途参入」した女性であるため、情報収集やネットワーク作りと、新たな調査協力者の開拓を兼ねて参加した。また、異分野から社会福祉士受験資格を目指す養成施設の卒業生グループにも参加し、施設が開催するイベントに協力した。養成施設は在籍性の職業や年齢も幅広い。また養成施設という養成側にも関わることで、調査、研究協力者の広がりに示唆を得た。 これまでおこなったインタビューのうち、異分野から相談支援専門職に中途参入するまでの語りをまとめ、令和5年10月に開催された日本社会学会で発表した。 また現在、これまでの研究成果をまとめた投稿論文を執筆中である。次のインタビューの準備も進めている。
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今後の研究の推進方策 |
インタビューは次の段階に進む。これまでの協力者に加えて、女性支援分野の相談支援専門職など、新たな協力者への聞き取りも加える予定である。また、「中途参入者を育てる側」(養成施設など)へのアプローチも視野に入る。さらに、中途参入者を雇用する側への調査の可能性も検討し、ライフコースの途上で、異分野に中途参入をした女性が働くこと、そしてそれらの人々が働く場を多面的にとらえていきたいと考えている。 これらのインタビューについては、分析方法のスキルアップを図り、今後の投稿論文や学会発表などの研究を推進したいと考えている。本研究は社会学、福祉社会学、キャリアデザインなど、広い分野で発表しうるテーマに育てたいと考えている。
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