研究課題/領域番号 |
23KJ1825
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分90130:医用システム関連
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
下条 裕 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 超短パルスレーザー / 皮膚 / 色素性疾患 / メラノソーム / ピコ秒レーザー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、超短パルスレーザーの生体作用に基づき最適な照射条件を設計するシミュレータを開発し、設計した照射条件で治療を行う、コンピュテーショナルレーザー治療システムを開発する。実現に向け、超短パルスレーザー治療の数理モデルの構築、皮膚組織の物理・化学パラメータの実測、生体模擬ファントムや動物試料を用いた治療モデルの妥当性評価を行う。さらに、臨床研究によって、提案システムを使用した施術と専門医の施術で治療効果を比較評価し、提案システムの臨床的有用性を実証することで、定量的かつ再現性の高いレーザー治療の臨床展開に向けた基盤を構築する。
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研究実績の概要 |
本年度は、超短パルスレーザーの生体作用に基づき最適な照射条件を設計するシミュレータの開発に向け、超短パルスレーザー治療の数理モデルの構築、数理モデルの構築に必要となる物理・化学パラメータとして、メラノソームの破壊閾値を取得した。臨床で利用されているピコ秒レーザーについて、異なる光波長(532nm, 730nm, 785nm, 1064nm)におけるメラノソームの破壊閾値を取得し、その閾値とヒト皮膚組織内の光伝搬に基づく超短パルスレーザー治療の数理モデルを構築した。構築した数理モデルによって、皮膚色素性病変に対するピコ秒レーザーの照射条件を計算し、照射波長、照射フルエンス、 照射スポットサイズの関係性を定量評価することに成功した。評価結果より、近赤外域波長のピコ秒レーザーでは、照射スポットサイズを大きくすることで、組織内のメラノソームの破壊に必要となる照射フルエンスが20%以上減少できることが判明し、熱損傷を抑えてレーザー照射するための条件設定における重要な知見を得た。一方、可視域波長のピコ秒レーザーでは、照射スポットサイズを変化させても組織内のメラノソームの破壊に必要となる照射フルエンスはほとんど変化せず、治療効果に対して照射スポットサイズの選択があまり影響しない可能性が示された。また、皮膚組織の物理パラメータの実測に向け、手術で摘出されたヒト組織を使用するために倫理審査書類を作成し、研究倫理委員会への提出を完了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
超短パルスレーザー治療の数理モデルの構築と必要となるメラノソームの破壊閾値を取得することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
超短パルスレーザー治療の数理モデルのファントム実験などによる妥当性検証、臨床条件の適用による提案モデルの有用性検証を進める。さらに、パルス幅の比較より、有効な照射条件の探索を行う。
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