研究課題/領域番号 |
23KJ1832
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
中川 朋 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2024年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2023年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 超流動ヘリウム4 / 量子渦 / 量子渦糸モデル / ケルビン波 / MEMS |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は超流動ヘリウムという特殊な液体で実現する渦である「量子渦」の「ピニング現象」を扱う。量子渦は超流動ヘリウムだけでなく、超伝導や冷却原子気体、さらには遠い宇宙の中性子星まで、様々な系に現れ、しばしばその物理に強く関係している。ピニング現象は量子渦が物体に固定される現象を指し、量子渦が系に大きく影響を及ぼすメカニズムの有力候補である。前述のように量子渦は様々な系に現れ、幅広い物理が見れる。この研究は超流動ヘリウムだけでなく、幅広い系への応用も可能だろう。
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研究実績の概要 |
この研究では微小空間中の超流動ヘリウム4量子渦のダイナミクスに関してシミュレーションを用いて研究を行った。超流動ヘリウム4では、回転の強さが一定になる量子渦のみが渦として存在を許され、系の物性に影響を及ぼしている。本研究では、超流動ヘリウム4中でプレート状の振動デバイスを用いてフロリダ大学のYoonseok Leeらのグループで行われた実験に着想を得て、実験系のモデル化及びに実験結果の解明を目指した。実験では、デバイスの振動が真空中と比べて異常に減衰することが分かった。実験系のモデル化では、振動するデバイスによって量子渦がどのように励起されるのか、全体的なダイナミクスにデバイスがどのように関わってくるのかが明らかになった。実験結果の解明については、渦の張力がデバイスの振動の減衰に寄与すると仮定したモデルを構築し、それによって、デバイスの振動によって励起された渦が振動を減衰させる方向に力を及ぼし、確かに振動は量子渦によって減衰しうることを明らかにした。このモデルはその他の実験事実にも説明を与えることに成功している。また、並行したプロジェクトとして、量子渦と帯電粒子の連立ダイナミクスのモデル化も行った。これは大阪大学の蓑輪らのグループで行われた実験に着想を得ている。彼らの実験では、帯電粒子を量子渦にトラップさせ、振動電場をかけることで、量子渦にケルビン波というヘリカルな波構造を励起させることに成功した。我々のグループではこの実験をモデル化し、確かに振動電場によってケルビン波が励起されることを確認した。
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