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休耕田ビオトープの配置と管理が水田生息性ゲンゴロウ類に与える影響の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23KJ1858
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分基金
応募区分国内
審査区分 小区分39060:生物資源保全学関連
研究機関兵庫県立大学

研究代表者

渡邉 黎也  兵庫県立大学, 地域資源マネジメント研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2023-04-25 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2025年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2024年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2023年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
キーワード水田 / 休耕田ビオトープ / 水生昆虫 / ゲンゴロウ科 / 保全
研究開始時の研究の概要

我が国では水田環境の劣化による生物多様性の減少が著しい。この現状に対し、環境保全型農業を推進する動きが高まっており、特にビオトープによる保全効果が高いことが検証されている。しかし、周囲の水田の生物多様性向上に寄与するビオトープの設置場所や管理手法に言及した研究は確認されていない。ゲンゴロウ類は水田生態系における中・上位捕食者であり、生物多様性の指標生物の1つである。
本研究では、水田生息性ゲンゴロウ類に着目し、その基礎生態、およびそれらの生息状況と周囲の景観や物理環境との関係を解明し、水田生態系全体の生物多様性保全に効果的な「休耕田ビオトープの設置場所や管理手法」を提言することを目的とする。

研究実績の概要

本研究では、水田に生息するゲンゴロウ類をはじめとする水生昆虫類の基礎生態(生息地利用の季節変化や食性、選好する微生息環境、飛翔距離)、およびそれらの生息状況と周囲の景観や物理環境との関係を解明し、水田環境の生物多様性保全に効果的な「休耕田ビオトープの設置場所や管理手法」を提言することを目的とした。
まず、ゲンゴロウ類8種の生息地利用および飛翔距離を明らかにするため、無農薬水田・ビオトープ・土水路において標識再捕獲調査を実施しており、翌年度以降も継続してデータを取得する。一部の成果として、無農薬水田においてゲンゴロウ類4種(ヒメゲンゴロウ、シマゲンゴロウ、コシマゲンゴロウ、クロゲンゴロウ)が幼虫期の季節消長や微生息場所利用、食性の違いによって共存していることを明らかにした。
また、水生昆虫類の保全に効果的な休耕田ビオトープの管理手法を提言することを目的として、兵庫県西部の棚田において野外操作実験を行った。9枚の耕作放棄田を復旧し、稲作を行う水田と湛水後は野放しにした休耕田ビオトープ、水田の一部を休耕した中間型を準備した。周辺のため池も調査地とした。生息地としての機能を評価するため、4つの生息地タイプ間で水生昆虫類の種数、個体数、種組成を比較した結果、ビオトープの種組成は水田、ため池とは有意に異なっていた。また、環境要因が水生昆虫類の種数や個体数に与える影響は目や発育ステージ(幼虫・成虫)によって異なることが明らかになった。
加えて、周囲の景観や管理手法、物理環境がゲンゴロウ類に与える影響を解明するため、豊岡市周辺のビオトープ42枚と無農薬・減農薬水田39枚を対象に、ゲンゴロウ類を含む水生昆虫類と潜在的餌生物の個体数調査および物理環境の測定を各季節、計4回行った。現在、得られたデータを解析中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

1年目に予定していた野外調査は概ね完了しており、一部のデータは論文投稿したが、豊岡市周辺のビオトープ42枚と無農薬・減農薬水田39枚で取得した水生昆虫群集と環境要因データの解析が完了しておらず、やや遅れていると判断した。

今後の研究の推進方策

基礎生態の解明:2年目には、ゲンゴロウ類の野外下における食性を解明するため、安定同位体分析により水田における餌資源や栄養段階を推定するとともに、室内にて餌選択実験を行う。また、ゲンゴロウ類の飛翔距離を推定するため、遺伝子解析により野外個体群間の遺伝子交流の有無を確かめる予定であり、解析用のサンプリングを行う。
ビオトープの管理手法の検討:ビオトープにおいて代掻きにより植被率を低下させ、それが水生昆虫類の多様性に与える影響を検証する予定である。また、湛水期間の違いがビオトープの水生昆虫類に与える影響を評価するため、冬季に落水するビオトープと冬季も湛水するビオトープを用意しており、水生昆虫類群集を比較する。
ビオトープの配置の検討:豊岡市周辺のビオトープ42枚と無農薬・減農薬水田39枚で取得した水生昆虫群集と環境要因データの解析を進める。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (8件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 熊本県球磨地方の迫田における水生コウチュウ・カメムシ目の記録2024

    • 著者名/発表者名
      渡辺黎也・犬童淳一郎・一柳英隆
    • 雑誌名

      環動昆

      巻: 35 号: 1 ページ: 9-15

    • DOI

      10.11257/jjeez.35.9

    • ISSN
      0915-4698, 2189-7174
    • 年月日
      2024-03-28
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Coexistence mechanism of sympatric predaceous diving beetle larvae2024

    • 著者名/発表者名
      Watanabe, Reiya, Shin-ya Ohba, and Shiro Sagawa
    • 雑誌名

      Ecology

      巻: 105 号: 4

    • DOI

      10.1002/ecy.4267

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] ため池におけるコイの駆除が水生昆虫群集に与える影響2024

    • 著者名/発表者名
      渡辺黎也・久保星・福岡太一・高橋真司・小林一清・大庭伸也
    • 学会等名
      第71回日本生態学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 「池の水ぜんぶ抜く」の科学的検証:コイ駆除が水生昆虫類に与える影響2024

    • 著者名/発表者名
      渡辺黎也・久保星・福岡太一・高橋真司・小林一清・大庭伸也
    • 学会等名
      第19回共生のひろば
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 過疎農村地域における水田と休耕田ビオトープの水生昆虫群集の比較2023

    • 著者名/発表者名
      渡辺黎也・久保星・福岡太一・高橋真司・小林一清・大庭伸也
    • 学会等名
      第14回琵琶湖地域の水田生物研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 過疎農村地域における水田と休耕田における水生昆虫群集の比較2023

    • 著者名/発表者名
      渡辺黎也・久保星・福岡太一・高橋真司・小林一清・大庭伸也
    • 学会等名
      第35回日本環境動物昆虫学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 野外観察から解き明かす水田生息性ゲンゴロウ類4種の共存機構:幼虫の季節消長、微生息場所利用、食性に着目して2023

    • 著者名/発表者名
      渡辺黎也・大庭伸也・佐川志朗
    • 学会等名
      第83回日本昆虫学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [備考] 水田に生息するゲンゴロウ類4種の幼虫の共存機構を解明

    • URL

      https://www.u-hyogo.ac.jp/news/pressrelease/7ae4cdbca935802b25e6a3098bb5e3b81cc500ca.html

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-26   更新日: 2024-12-25  

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