研究課題/領域番号 |
23KJ1860
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
影山 鈴美 岡山県立大学, 保健福祉学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2024年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2023年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 重症心身障害児(者) / 米麹甘酒 / 便秘症状 / 腸内細菌叢 |
研究開始時の研究の概要 |
重症心身障害児(者)(以下、重症児(者))で頻繁に併発する便秘の対策には、患者および介護者の負担軽減のため、緩下剤や浣腸といった薬物に頼らない便秘改善が重要な課題である。アルコール分を含まない米麹甘酒には、便秘症状の軽減と同時に腸内細菌叢を望ましい方向へ変化させる可能性がある。本研究は、重症児(者)の便秘に対する食事療法という社会的意義に加え、重症児(者)の便秘をはじめとする全身性の諸症状と腸内細菌叢との関連を、血液及び糞便中代謝産物を含めた多角的な視点により新たな知見を得ることは学術的にも非常に意義がある。
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研究実績の概要 |
本研究は、重症心身障害児(者)(以下、重症児(者))の特性や便秘を含む全身性の諸症状と腸内細菌叢の関連性、及び6週間の米麹甘酒摂取に伴う便秘症状と腸内細菌叢への影響を明らかにし、そのメカニズムを検討することを目的としている。 当該年度は、既に実施していた重症児(者)を含む在宅療養障害児(者)を対象としたパイロット研究において、6週間の米麹甘酒摂取前後及び摂取後6週間後の腸内細菌叢の変化に着目した追加検討を行った。米麹甘酒摂取後に便秘症状が有意に軽減されたと同時に、共同研究先の国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所による次世代シークエンサーを用いた腸内細菌叢データからバイオインフォマティクス解析の主座標分析を行った結果、30%の対象者で腸内細菌叢の有意な変化が認められた。この変化にはBifidobacteriumが強く関連していた。そしてこの変化は摂取期間中のみで観察され、摂取終了後は元の腸内細菌叢に戻ることが確認された。これらの知見を査読付き国際論文誌に報告した(Physiological Genomics. 55(12):647-653. 2023)。 さらに、重症児(者)を含む在宅療養障害児(者)を対象に、パイロット研究を発展させて実施した比較対照試験について、6週間の米麹甘酒摂取が排便状況に与える影響を検証した。その結果、米麹甘酒摂取によって在宅療養障害児(者)の便秘症状が軽減し、その変化には便形状の変化を伴う可能性が示唆され、査読付き国内論文誌に報告した(日本臨床栄養学会雑誌. 45(2):122-139. 2023)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
重症児(者)を含む在宅療養障害児(者)を対象とした比較対照試験では、6週間の米麹甘酒摂取によって便秘症状が軽減し、その変化には便形状の変化を伴う可能性が示唆された(日本臨床栄養学会雑誌. 45(2):122-139. 2023)。ただし、便秘症状の軽減における検定結果の信頼性を示す検定力は目標数値に至っておらず、サンプル数を増やした更なる検討の必要性が考えられた。そして現在まで継続調査を行っており、順調にサンプル数を増やすことができていることから、本研究は当初の計画通りに進捗していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
重症児(者)を含む在宅療養障害児(者)を対象とした比較対照試験では、6週間の米麹甘酒摂取による排便状況への影響について、サンプル数を増やした検討を進める。同時に、腸内細菌叢解析データと合わせて検証し、便秘改善に至るメカニズムの解明につなげていきたいと考えている。 また、入院施設の協力を得て入院中の重症児(者)を対象に、在宅療養中の重症児(者)では実施が困難であった採血及び糞便中代謝産物測定を加えて調査を行い、重症児(者)の特性や便秘を含む全身性の諸症状と腸内細菌叢の関連についても検討していきたいと考えている。
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