研究課題/領域番号 |
23KJ1872
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分39040:植物保護科学関連
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
近藤 直純 北里大学, 感染制御科学府, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2024年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2023年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | カイコ初齢幼虫 / 殺虫活性物質 / ガ類害虫 / スクリーニング / 大村天然化合物ライブラリー / Borrelidin |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、新たな農薬の創製に繋がる基盤研究をモデル生物のカイコを用いて実施する。本研究課題は2項目ある。1つ目は、薬剤耐性化が深刻なガ類害虫に対し有効に作用する新規化学構造を有する殺虫活性物質を微生物培養物ライブラリーからスクリーニングし、発見することである。2つ目は、ガ類害虫に中程度の殺虫活性を示しながらも、殺虫活性における作用機序が未解明である天然化合物cyclosporine Aのカイコ細胞における標的分子の同定を目指した研究を行う。これらのことから、本研究を遂行することで、農業用殺虫剤の創製に繋がる知見を発信することができる。
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研究実績の概要 |
カイコ初齢幼虫を用いた高感度殺虫剤シード探索モデル(カイコ評価系)を構築し、所属研究所が有する大村天然化合物ライブラリー、及び微生物培養液ライブラリーから殺虫活性物質を探索した。 微生物由来の多様な天然化合物をまとめた大村天然化合物ライブラリーより殺虫活性物質を探索した結果、borrelidin(1)に有望な殺虫活性を見出した。薬剤耐性化が特に深刻な難防除ガ類害虫であるコナガ・オオタバコガ・ハスモンヨトウを用いた高次活性試験の結果、1は3種のガ類害虫に対して潜在的な殺虫活性を示した。Borrelidin(1)は、現在利用されている殺虫剤とは異なる作用機序として、threonyl-tRNA合成酵素阻害活性を有する。このことから、新規作用を示す殺虫剤シード化合物として注目した。Borrelidin(1)が殺虫活性を示す化学構造の最適化を志向し、カイコ初齢幼虫に対する殺虫活性を指標とした構造活性相関の検証、並びにクリックケミストリーを利用した1の誘導化を実施した。その結果、1同様の殺虫活性を示しながら、ヒト細胞毒性を減弱した誘導体を得ることに成功した。 微生物(糸状菌・放線菌)培養液ライブラリーから殺虫活性物質のスクリーニングを行った結果、25サンプルに良好な殺虫活性を確認し、培養による化合物生産の再現性等から9サンプルを精製対象候補株として選別した。カイコ初齢幼虫に対する殺虫活性を指標に順次精製を進めることで、oligomycin Aを始めとする殺虫活性物質を同定した。難防除ガ類害虫の1種であるハスモンヨトウを用いた高次活性試験の結果、これらの殺虫活性物質はガ類害虫に対して潜在的な殺虫活性を示した。この結果から、カイコ評価系はガ類害虫に対する高感度な殺虫活性物質の探索系として妥当に機能することが実証できた。現在は精製対象候補株の精製・化学構造解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画通り、大村天然化合物ライブラリーならびに微生物培養物ライブラリーを用いた殺虫活性物質のスクリーニングによって有望な殺虫剤シード化合物を同定し、更なる結果を得るための研究を実施することで、国際誌に論文を発表することができた。これらの理由から、おおむね順調だと自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
・カイコ評価系を用いたガ類害虫に対する殺虫活性物質の探索 微生物培養物ライブラリーより、ガ類害虫に対して有望な殺虫活性を有する未同定化合物2サンプルに関して、2次元NMRやアミノ酸配列の解析を通じて殺虫活性物質の平面構造を解析する。天然化合物データベースであるDictionary of Natural ProductsやSciFinderを通じて化合物を同定できない場合は、新規殺虫活性物質であると仮定して、改変マーフィー法やPGME法、さらにはMicro-EDの利用を通じ、化合物の立体構造を明らかにする。
・Cyclosporine Aの殺虫活性に関与する作用機序の解明 共同研究者とともに、cyclosprone A (CyA) の作用機序解析のためのケミカルプローブの作製を計画中である。我々の事前検討では、CyAは、カイコ生体に強い殺虫活性を示すが、カイコの細胞株には毒性を示さなかったことから、CyAケミカルプローブの作製に続き、カイコ初齢幼虫のライセートを用いたプルダウンアッセイを行い、標的分子タンパク質候補をリストアップする。それらに対し、大腸菌発現系等を利用して組換えタンパク質を取得し、CyAケミカルプローブを用いた競合実験や、CyAとの相互作用解析を行うことで、標的分子を同定する。
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