研究課題/領域番号 |
23KJ1877
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
谷川 みらい 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 官営事業 / 開拓使 / 関西貿易社 / 北海道運輸会社 / 北海道共同商会 |
研究開始時の研究の概要 |
産業革命・帝国議会成立期(おおよそ1880年代後半から1900年代前半まで)における、官営事業の払下げや新設をめぐる政治過程や言説について、政治体制の民主化と官営事業の関係、人々の経済観の変化、中央―地方関係に留意しつつ、史料に基づく実証研究を行う。同時期には、官営鉱山・工場の払下げが継続して行われた一方で、中央政府による事業経営の再拡大とみなしうる流れが生じた。府県・市区町村や産業組合など中央政府以外の手による公的な事業も視野に入れながら、株式会社や家族経営とは異なるそれらの事業に、同時代においてどのような意義が見いだされ、また否定されていたのかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
本年度は主に、開拓使廃止(1882年)前後から北海道庁成立(1886年)前後にかけて設立され、北海道関連事業に従事した諸会社の動向を明らかにすることに注力した。具体的には、関西貿易社(1881年設立)、北海道運輸会社(1882年設立)、北海道共同商会(1884年設立)、日本昆布会社(1889年設立)、北海道炭礦鉄道株式会社(1889年設立)の各社である。本年度の研究では特に、関西貿易社・北海道運輸会社・北海道共同商会に関して新たな史料に注目し、先行研究が明らかにしたことと組み合わせることで、上記の会社群に共通する性格を見出しつつある。 これらの会社の設立過程や経営には、開拓使の官員(開拓使廃止後には元官員)が関与していた。開拓使が彼らにとって不本意な形で廃止されたことを受けて、開拓使の政策あるいは開拓使が行っていた官営事業を、会社の形を取って継承しようとする意図があったと推測される。各社にはそれぞれ民間の事業家・資産家が参加していたが、特定の政策的意図の存在は、会社経営を困難に陥らせることがあった。それぞれの会社が置かれた状況にそくして、開拓使(元)官員と北海道内外の会社発起人・出資者の関係を明らかにするにはさらなる研究を要する。研究が進展すれば、産業革命・帝国議会成立期において、官営事業がいかなる展開を見せるのか、その際、中央と地方の関係はどのように変化するのかという本研究課題に大きく接近することができると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
北海道立文書館、北海道大学附属図書館、大阪商工会議所、住友史料館(京都府)への出張を行い、それぞれで有用な史料を閲覧することができた。その結果得られた研究成果については受入研究機関である慶應義塾大学内の研究会等で報告した。そこで得られたコメントをふまえてさらに研究を行いつつ、一部の内容については文章化して、投稿する準備を進めている。 また、これまで継続してきた開拓使に関する研究の一部が、論文「物産取扱所と開拓使の理念―「開拓使官有物払下げ事件」の一背景―」として『日本史研究』に掲載された。本研究課題の前提となるものである。
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今後の研究の推進方策 |
2年目も引き続き、主として1880年代に北海道で設立された会社群をめぐる官民関係、特に開拓使との関係を解明することに注力する。北海道立文書館所蔵「開拓使文書」や、北海学園大学附属図書館が所蔵する北海道炭礦鉄道関係史料の利用を計画している。その成果の一部は、論文として発表することを目指す。 また、町村レベルの地域から見た国営・公営事業や、それをめぐる官民関係とはいかなるものであったかを明らかにすることにも取り組みたい。そのために、滋賀県内の町村史料を対象とする共同調査に参加しているが、今後も引き続き調査に参加し、史料の分析を進める。
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