研究課題/領域番号 |
23KJ1924
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分62010:生命、健康および医療情報学関連
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研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
鈴木 圭 芝浦工業大学, 大学院理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2025年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2024年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2023年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 機械学習 / 精神疾患 / うつ病 / 双極性障害 / 生体情報 / 脳波 / 脈波 / 皮膚電気活動 |
研究開始時の研究の概要 |
近年,精神疾患の患者数は増加しているが,その診断方法は主に患者と臨床医の面接などであり主観に依存する課題がある.本研究の目的は,この診断のサポートをするための,脳波などの客観的な生体情報から精神疾患(うつ病・双極性障害など)の病名やその重症度を推定するモデルを構築することである.これにより,医療サービスの質の向上につながり得る.現状では、うつ病患者と健常者の2値分類において,精度90%程度を達成した.引き続きモデル構築に必要なデータを収集するために,生体情報の計測を実施する.そして,うつ病の重症度・複数の精神疾患の有無・複数の精神疾患の重症度の推定をするモデルの構築手法を明らかにする.
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、精神疾患の診断のサポートをするための,脳波などの客観的な生体情報から精神疾患の病名やその重症度を推定するモデルを構築することである.近年,精神疾患の患者数は増加しているが,その診断方法は主に患者と臨床医の面接などであり、診断が主観に依存するという課題がある.本研究はこの課題の解決に寄与し,医療サービスの質の向上につながり得る. 本研究の成果を2023年度の計画である次の1)-3)に沿って述べる.1)精神疾患の患者・健常者の脳波などの生体情報の計測,2)複数精神疾患の有無を推定するモデルの構築,3)国内外の学会への参加. 1)では,モデル構築に不可欠な脳波などの生体情報の計測を実施した.計画以上に、脳波のみではなく脈波・皮膚電気活動・呼吸活動なども計測した.これにより、脳波だけではなく他の生体情報を含んだ多角的な分析が可能となることが期待できる.これだけでなく、精神疾患の要因となり得る失感情症(アレキサイミア)に関する情報を収集しはじめた.この情報を分析することで、研究計画を上回る進展を期待し得る. 2)では、 1)や収集済みのデータの他、公開されているデータもとに,複数の精神疾患の有無を推定するモデルを構築した.具体的には、健常者とうつ病患者と双極性障害の患者を分類するモデルが挙げられる.うつ病と双極性障害は一部の症状が似通っており、判別が困難な病である.この病を分類可能なモデルを実現し、病の診断をサポートできれば、特に有用であると考えられる. 3)では、モデル構築の成果を発表することで,社会に研究成果を還元し,研究者との議論を重ねることでさらに研究を進展した.具体的には、東京慈恵会医科大学やベルギーのルーヴァン・カトリック大学との共同研究へと研究が進展した.また、国際学会での賞の受賞や医療・医学の専門誌への研究成果の掲載へと至った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
現在までの進捗状況を【当初の計画以上に進展している】と考える.その理由として、計画以上の進捗である次の2点を挙げる.1) 新たな分析対象の追加、2) 国内・国外の研究組織との共同研究への発展. 1)では、新たな分析対象として、生体情報である脈波・皮膚電気活動・呼吸活動を追加した.これにより、脳波だけではなく他の生体情報を含んだ多角的な分析が可能となることが期待できる.また、多角的な分析が可能となることにより、精神疾患を判別するモデルの精度の向上につながり得る.これだけでなく、精神疾患の要因となり得る、自身の感情を認識・表現することが困難な状態である失感情症(アレキサイミア)を分析対象として追加した.アレキサイミアの検知が可能となれば、精神疾患を患った後の診断のサポートにとどまらず、精神疾患の要因を持つ人に対して、精神疾患を患う前の予防措置が取れるようになり得る. 2)では、研究成果の発信や研究者との議論により、東京慈恵会医科大学やベルギーのルーヴァン・カトリック大学との共同研究へと計画以上に研究が進展した. 両研究機関ともに医療に関与する研究機関を備えているため、医療に関与する本研究の研究促進につながり得る. 以上の1)新たな分析対象の追加、2)共同研究といった計画以上の進捗のため、現在までの進捗状況を【当初の計画以上に進展している】と考える.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策を、2024年や2025年に計画している次の3点に沿って述べる.1)精神疾患の患者・健常者の生体情報の計測,2)複数の精神疾患の重症度を推定するモデルの構築,3)国内外の学会への参加. 1)に関する方策として、研究の目的や意義・研究成果の発表を行う.現在は、精神疾患を患う方が通われる事業所にご協力をいただき計測を実施している.継続的なデータ計測にご協力をいただけるように、研究の目的や意義・研究成果を発信することで、データ計測への協力に対するモチベーションを維持・向上に努める.データ計測ができないことでモデル構築が実施できない可能性が考えられるが、そういった場合に備え、研究者や研究機関が公開しているデータセットの収集も実施する. 2)に関する方策として、高精度なモデルを構築するための技術・知識の収集・習得を行う.近年では、深層学習に関する研究が盛んである.特に、脳波などの生体情報といった時系列データの学習に関する研究の技術・知識を収集・習得し、これを応用することで本研究の推進につながり得る.特に、近年注目されているリザバーコンピューティングやTransformerなどに関する技術・知識を収集・習得する方策である. 3)に関する方策として、これまでに研究成果を発表した国内・国際学会や医療・医学の専門誌に継続的に研究成果を発表する.また、より研究の推進が期待できる学会や専門誌を探し、その学会や専門誌への投稿へ向けて研究を推進する.
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