研究課題/領域番号 |
23KJ1925
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分38060:応用分子細胞生物学関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
徳本 翔子 順天堂大学, 大学院医学研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 乾燥耐性 / スクリーニング / HEK293細胞 / 乾燥保存 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、ヒト培養細胞へ乾燥耐性をもたらす遺伝子セットの同定を行う。まずは乾燥耐性生物のcDNAを導入し、乾燥耐性を持つ細胞の樹立を行う。次に、乾燥耐性を持つ細胞が得られたら、シングルセルmRNA-seqを行い、どのような乾燥耐性生物由来の遺伝子の組み合わせが、1細胞ごとに発現しているのか情報を得る。この解析から得た、乾燥耐性を付与する候補遺伝子の組み合わせを、山中教授らが、iPS 細胞の作製に必要な山中 4 因子の同定をする際に用いた方法を用いて解析する。具体的には、候補遺伝子の組み合わせから 1つずつ減らした組み合わせの遺伝子をヒト培養細胞へ導入し、必要十分な遺伝子セットを同定する。
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研究実績の概要 |
本研究では、HEK293細胞において、乾燥耐性生物由来のcDNAライブラリを導入し、乾燥保存できるかを検討する。使用する乾燥耐性生物はネムリユスリカやクマムシなどを予定している。哺乳類細胞のHEK293細胞でこれら生物のcDNAをCMVやCAGプロモーター等の恒常活性プロモーターを用いて発現させると、細胞毒性が出ることが想定される。そのため、cDNAライブラリは誘導型発現システムを用いて発現させることを計画している。 そこで2023年度は、Tet-OnシステムでcDNAラリブラリを発現させることを目的として、rtTA (reverse Tetracycline Trans-activator)をstableに発現するparental cellの樹立を行った。Tet-Onシステムは、第3世代のテトラサイクリン発現誘導システムである、Tet-On 3Gを用いることにした。哺乳類のSafe Harbor siteの一つである、AAVS1に、CMVプロモーター、Tet3G、HaloTagおよびBlaR(ブラストサイジン耐性遺伝子)をCRIS-PITChを用いて導入した。ブラストサイジンを用いて、細胞をセレクションした後、HaloTagリガンドを添加して、シングルセルソーティングを行った。AAVS1にCMVプロモーター、Tet3G、HaloTagおよびBlaRがノックインされているかを確認するため、取得したclonal cell lineのゲノムをtemplateにして、PCRを行った。その結果、全ての発現ユニットが挿入されていることを確認でき、cDNAライブラリを導入するためのparental cellを樹立することができた。今後は、この細胞を用いて、乾燥耐性生物由来のcDNAライブラリを導入し、HEK293細胞が乾燥耐性を得られるかを検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度は、cDNAライブラリを導入するための細胞樹立とcDNAライブラリの作製を目標としていた。前者の細胞は問題なく樹立できた。しかしながら、cDNAライブラリ作製に用いる試薬キットを購入後に、そのキットで推奨しているmRNA精製キットが廃盤になったため、高濃度でmRNAを精製できるキットを探すことが必要になった。さらに、新しく見つけたmRNA精製キットの公式プロトコルに間違えがあったため、乾燥耐性生物のRNA抽出からやり直さなければならなくなったため、cDNAライブラリの作製まで終えることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
途中になっている、cDNAライブラリの構築をまず行う。まずは、比較的サンプリングしやすい、乾燥耐性生物のネムリユスリカを用いて、cDNAライブラリを作製する予定である。mRNAが十分に取得できれば、乾燥時と再水和時の2つに分けてライブラリを作製する予定である。まずはどちらのライブラリもTet-On3Gシステムで発現させるように、TRE3Gの下流にcDNAを組み込む予定である。 本研究課題では、乾燥時と再水和時のcDNAを、それぞれTet-On3GおよびCumate gene-switchシステムを用いて発現させる計画である。そのため、今年度では、Cumate gene-switchシステムがHEK293細胞でcDNAライブラリの発現に使用できそうかについても検討する予定である。Cumate gene-switchシステムが使えそうであれば、再水和時のcDNAライブラリを載せ替える。
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