研究課題/領域番号 |
23KJ1935
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
阿部 達也 上智大学, グローバル・スタディーズ研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2025年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2024年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2023年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | クルド系マドラサ / クルド系ウラマー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、歴史的にクルド人が多数派を占めてきたトルコ東部、シリア北部、イラク北部、イラン西部に跨るクルド人地域(クルディスタン)において存在するスンナ派の伝統的なイスラーム学問教育機関であるクルド系マドラサの学問教育活動の実態と、クルド系マドラサでイスラーム教育を修めたクルド系ウラマーの学問教育活動とそのネットワークを歴史学、及び人類学的手法で明らかにすることで、これまで近代国民国家の枠組みの中で「周辺」として位置づけられてきたクルド人地域・クルド人のイスラーム世界における「中心」的な役割を明らかにし、クルド・ナショナリズムとは異なるイスラーム世界におけるクルド人の歴史的な営為を明らかにする。
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研究実績の概要 |
2023年度は、クルド系マドラサの実態を解明するための研究を行った。まず、世界最大のクルド人人口を有し、現代においてもクルド系マドラサが顕著な存在感を示しているトルコにおいて、近年クルド系マドラサ出身のクルド人学者によって出版されたクルド系マドラサに関するトルコ語・クルド語文献を数多く収集し、翻訳と文献調査を行っただけではなく、実際にトルコ東部のディヤルバクル県とバトマン県を中心にクルド人地域にある町と村々にあるクルド系マドラサに訪問し、数日間滞在しながら人類学的な現地調査を行ったことで、クルド系マドラサとは何か、クルド系マドラサの教育活動がいかなるものか、クルド系マドラサがいかなる歴史的な変遷を経てきたのかに関する貴重な情報を得ることができ、これらの研究活動によって、研究申請書において当初この研究課題の第1段階としていたクルド系マドラサの実態把握をおおむね達成することができた。 この第1段階において得られた研究成果は、2024年5月12日の第40回日本中東学会年次大会における個人研究発表である「北クルディスタンのマドラサ教育活動とクルド人の学問教育伝統」と、2024年6月15、16日に開催されるアジア政経学会2024年春季大会の自由応募分科会の「『国なき民』クルド人の出版と民族意識」において発表されることになっている。なお、学会発表後にはクルド系マドラサの教育活動に関する学術論文を執筆し、学会誌に掲載する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
この研究課題がおおむね順調に進展している理由としては、研究代表者である私がクルド人地域における幅広いネットワークとトルコ語・クルド語の高い言語能力を有しており、それらを駆使することで、研究課題上の大きな障害を形成していないことが挙げられる。また、近年の研究対象地域であるクルド人地域の治安改善と交通網、通信環境の発達もこの研究課題がおおむね順調に進展していることに貢献している。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度では、この研究課題の第2段階に入ることで、クルド系マドラサの学問教育とネットワークが影響を及ぼした周辺地域としてトルコを代表的な地域として扱い、特にトルコ西部のコンヤ、アンカラ、ブルサ、イスタンブルに移住し、そこでマドラサで教育活動を行うクルド系ウラマーを対象にし、トルコ国内のクルド系ウラマーの地位はいかなるものかという点に関して人類学的な現地調査をスノーボール方式で行いたいと考えている。2023年度では、現地調査を1度しか行うことができなかったが、2024年度は2度の現地調査を行い、より多くの研究成果を得ることによって、2023年度と同様に翌年度の学会で発表することを目標に研究を行う予定である。
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