研究課題/領域番号 |
23KJ1972
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分10040:実験心理学関連
|
研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
山内 つぐみ 東京理科大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2025年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2024年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2023年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
|
キーワード | 超音波 / 情動行動 / 動物モデル / 抑うつ / 不安 |
研究開始時の研究の概要 |
うつ病モデル動物のひとつである嗅球摘出(OB)ラットを用いて、超音波の曝露が抑うつ・不安様症状にどのような影響を及ぼすかを明らかにする。OBラットに音圧、周波数などを変えた様々な超音波を曝露し、の行動学的変化、神経発火、神経伝達物質の変化を検討することで、超音波の情動への影響とそのメカニズムの検討を行う。さらに、ヒトでの心理学実験も行い、動物で効果を示した超音波がヒトにおいても心理状態に良い影響を及ぼすのかを検討する。
|
研究実績の概要 |
近年、超音波の曝露が非侵襲的に脳活動および情動状態を変化させる可能性が示され、うつ病治療への有用性が期待されている。しかしながら、先行研究においては実験対象や曝露方法が異なるため超音波曝露の情動状態への詳細な作用や、神経回路やメカニズムは不明である。超音波曝露の情動状態への影響について一貫した知見を得るために、に動物モデルを用いたメカニズムの解明とヒトを用いた効果の検討が求められる。本研究は嗅球摘出ラットうつ病モデルを用いて、抑うつ・不安様行動を改善する超音波の要素を同定し、超音波曝露による抑うつ様症状改善の神経メカニズムを解明することを目的として行った。 嗅球摘出ラットを用いて、人工的に作成した超音波の曝露が嗅球摘出ラットの情動過多反応性、高架式十字迷路試験における不安様行動、血中コルチコステロン濃度に及ぼす影響を検討した。音圧、周波数を変えた超音波を曝露し、行動学的変化と生理学的変化を観察した結果、100 kHzの特定周波数音を12時間または24間曝露する条件で、情動過多反応性および血中コルチコステロン濃度が低下することが明らかになった。さらに、免疫化学的染色により、既知の聴覚経路が活性化しているかを確認したところ、一次聴覚野の発火は認められなかった。以上の検討より、ラット非可聴域の超音波の曝露は既存の聴覚系に依存せず嗅球摘出ラットうつ病モデルの情動状態を改善することが示された。さらに、嗅球摘出ラットうつ病モデルを用いてラット非可聴域の超音波曝露の影響を検討できることが明らかになった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的である「抑うつ・不安様行動への超音波曝露の影響とその神経メカニズムを解明」を行うために、本年度は抑うつ様症状を改善する曝露条件を同定することを計画していたが、計画通り曝露条件を同定することができた。来年度以降、本年度に同定した曝露条件でメカニズムの解明を進めていくためのデータを示すことができた。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度同定した曝露条件において、情動行動変化のメカニズムについて詳細な検討を行っていく予定である。具体的には、超音波を曝露した際に活性化する脳部位を明らかにする。また、活性化に関わる神経回路及び神経伝達物質を、光遺伝学的手法と神経生理学的手法を用いて明らかにする予定である。 また、ヒトでも同様に非可聴域の超音波曝露が心理状態に影響を及ぼすかについても検討を進める。健常実験参加者に超音波を曝露することで主観的感情の変化が認められるか、ストレスホルモン値に影響が見られるかについても検討を開始する。
|